帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の8月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.3ポイント減の45.1と、2カ月ぶりに悪化した。「業種や地域、企業規模において景況感が二分化される傾向が表れてきた」と同社。51の業種別では、旅館.ホテルが同0.2ポイント減の59.0と、5カ月ぶりに悪化した。
調査は全国の企業2万3283社に行い、1万833社から有効回答を得た。
10の業界別では、「小売」「運輸.倉庫」など4業界が改善。「サービス」「金融」など6業界が悪化した。
このうちサービスは同0.3ポイント減の50.1と、2カ月ぶりに悪化。旅館.ホテルのほか、4月に施行された介護報酬のマイナス改定の影響が表れ始めた「医療.福祉.保健衛生」、公共工事の先送りと縮小で発注量が減少した建物サービスなど「専門サービス」を含め、15業種中7業種で悪化した。
「小売」は同0.5ポイント増の42.4と、2カ月連続で改善した。ガソリン価格が低下した中で、お盆期間中に自動車を利用した国内旅行が増加したことで、ガソリンスタンドを含む「専門商品小売」が大きく改善した。百貨店や通信販売など「各種商品小売」も増加し、9業種中5業種で改善した。
10の地域別では、6地域が悪化、3地域が改善、1地域が横ばいだった。
このうち四国は同2.1ポイント増の47.7と、4カ月ぶりに改善した。集中豪雨に見舞われた前年と比較して天候に恵まれたことや、主力業界の造船業が堅調だったこと、工事を地元建設業者が落札する機会が増えたことなどが影響した。
九州は同0.4ポイント減の44.5と、2カ月ぶりに悪化した。公共工事の先送りや縮小で請負額が大幅に減少したほか、大型台風により宴会のキャンセルや店舗休業などが発生した。
企業の規模別では、大企業が同0.1ポイント増の48.9。中小企業が同0.4ポイント減の44.1。小規模企業が同0.2ポイント減の43.2。大企業が2カ月連続で改善した一方、中小企業が2カ月ぶりに悪化した。
現在と先行きの景況感の主な回答は次の通り。
「プレミアム商品券の利用が多く景気が良い」(現在、良い、飲食店)。
「欧米への海外旅行者数の不振により景況感は厳しい」(現在、悪い、旅行手続業務)。
「北陸新幹線や県内で開催する国体の影響で、再開発や新しい企画が行われており、これらの実施がひと段落するまでには景気の良い状態が続くのではないかと思われる」(先行き、良い、飲食料品小売)。
「北海道全体で見ると、外国人観光客の増加が景気回復の一要因となっているが、恩恵を受けているのは一部のみで、他の業界は今後も厳しい状況が続いていく」(先行き、悪い、ごみ収集運搬)。