帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の9月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント増の42.9と、2カ月ぶりに改善した。全10地域が2カ月ぶりに改善。業種別では旅館.ホテルが同1.0ポイント減の49.0と4カ月ぶりに悪化した。
10の業界別では8業界が改善、2業界が悪化した。このうち建設は同1.2ポイント増の48.1と3カ月連続の改善。「予算の前倒し執行や熊本地震の復旧工事に加え、8月に東日本を襲った台風被害による道路や河川の復旧工事で、全国的に公共工事が活発化した」(同社)。
製造は同0.9ポイント増の41.8と、2カ月ぶりに改善。特に化学品製造が同2.2ポイント増と大きく増加した。「インバウンド消費が高額な時計や宝飾品、家電から化粧品などへ移行してきたことがプラスに働いた」(同)。
サービスは同0.2ポイント増の47.9と2カ月ぶりに改善した。公共事業や五輪関連投資の増加を受けて、土木建築サービスなどの専門サービスが同1.5ポイント増と好調。ただ、旅館.ホテルが悪化したほか、飲食店が同3.2ポイント減の39.0と大きく低下した。「国内の消費マインドの低迷に加え、8月から9月にかけての台風や長雨などの天候不順が影を落とした」(同)。
悪化は不動産、その他の2業界。
10地域別では、全てが改善した。このうち北関東は同1.2ポイント増の42.3。伸び率が最も大きかった。「地場大手メーカーの好調な生産が景況感を押し上げる要因となった」(同)。
九州は同0.6ポイント増の45.1と4カ月連続で改善。「九州ふっこう割」など復興支援策により観光地への入り込みが徐々に回復。サービス、小売などで改善した。
回答企業の主な声は次の通り。
「熊本地震における災害の本格的な復旧工事が始まり、建設業は人手不足になっている」(現在、良い、電気配線工事)。
「インバウンド消費が高額時計、高級家電、ブランド品などから化粧品や体験型へ変化してきている」(現在、良い、塗料製造)。
「台風の影響による不漁、不作に加え、観光客数が減少」(現在、悪い、水産食料品製造)。
「台風被害によるJR不通区間のため、物流、観光に影響大」(現在、悪い、興行請負)。
「1年後あたりから、リニア新幹線効果が期待できる」(先行き、良い、事務用機械器具卸売)。
「中小企業を中心に人手不足であるが、消費が伸びている様子がない」(先行き、悪い、自動車小売)。
第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)
- 1位草津、2位道後、3位下呂