帝国データバンクの景気動向調査によると、今年6月の全国企業の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.8ポイント増の33.2で、2カ月連続で改善した。企業の生産活動の復調が続き、製造業などでDIの改善が進んでいる。ただ、消費活動で総じて停滞が続き、小売業などでDIが伸び悩んでいる。サービス業では、旅館・ホテルが2カ月連続で改善したが、依然として低水準にある。
調査は全国企業2万2773社に行い、1万1032社から有効回答を得た。
DIを業界別にみると、製造が前月比2.3ポイント増の35.2。2カ月連続で改善した。サプライチェーン(供給網)の回復で企業の生産活動が復調しており、特に輸送用機械・器具製造(32.6)が同8.6ポイント増と、全51業種の中で最も大きく改善した。ただ、震災前の水準(38.8)を下回っている状況に変わりはない。
小売は同1.3ポイント増の31.5。3カ月連続で改善した。家電・情報機器小売が、節電や省エネ製品、地上デジタル放送切り替え前の買い換え需要で3カ月ぶりに改善。ただ、繊維・繊維製品・服飾品小売、家具類小売など、ほかの業種は低水準が続き、小売全体では相対的に伸び悩む傾向が続いた。
サービスは同2.1ポイント増の34.2。2カ月連続で改善した。前月まで全51業種中、3カ月連続の最低だった旅館・ホテル(同7.9ポイント増の26.9)も2カ月連続で改善し、最悪期を脱したが、依然、下から6番目の低水準で、震災前の水準(28.1)には戻っていない。
地域別では、四国を除く9地域で改善。特に東日本の復調が顕著になっている。
東北は同3.7ポイント増の31.3。2カ月連続の改善で、全国10地域中、最も大きく改善した。製造業が回復傾向にあり、消費も底堅く、復興需要も増加した。
特に宮城(同7.1ポイント増の40.4)が建設業や製造業を中心に大きく改善し、全国47都道府県で初めて1位に上昇した。岩手(同0.7ポイント増の27.8)、福島(同4.4ポイント増の33.3)も改善した。
北関東は同3.6ポイント増の32.8。2カ月連続で改善し、東北に次ぐ改善幅となった。特に茨城(同3.6ポイント増の35.4)が建設業や製造業がけん引役となり改善を続け、47都道府県別で5位に上昇した。
東海以西はサプライチェーンの混乱や原発事故の影響の広がり、被災地に投資が集まる傾向があることなどで、比較的改善が遅れている。