帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の10月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.0ポイント減の44.1で、安倍内閣発足以降初めて3カ月連続で悪化した。「コスト上昇分を吸収できない中小企業を中心に景況感の悪化が広がっており、全国的に低迷している」と同社。業種別では、旅館・ホテルが2カ月連続で好転した。
調査は全国の企業2万3327社に行い、このうち1万755社から有効回答を得た。
10の業界別では、運輸・倉庫(前月比増減なしの43.7)を除く全てが悪化した。このうちサービスは同1.5ポイント減の47.7と、3カ月連続で悪化。旅館・ホテルは同0.1ポイント増の46.3と2カ月連続で好転したものの、飲食店(同4.1ポイント減の42.6)は「観光客による消費は伸びているものの、地元の個人.法人消費が伸び悩み」、4カ月連続で悪化した。
小売は同1.2ポイント減の36.3。「実質所得の減少や消費マインドの悪化傾向が続く中、2週連続で週末に台風が上陸したことからイベントの中止や鉄道の全線運休などの影響で客足が鈍り」、2カ月連続で悪化した。
製造は同0.8ポイント減の43.4、建設は同1.2ポイント減の51.6と、ともに3カ月連続で悪化した。
10の地域別では四国を除く9地域で悪化した。
このうち北海道は同2.5ポイント減の42.5、北関東は同2.7ポイント減の43.1と大幅に低下した。北海道はアベノミクスと東北の復興需要を追い風に10地域中1位となっていた前年同月から8.8ポイント減と、大幅に景気が悪化している。北関東は10地域中最大の悪化幅となり、6カ月ぶりに全国平均を下回った。
九州は同0.6ポイント減の45.4と2カ月ぶりに悪化した。台風の影響でキャンセルが相次いだ旅館.ホテルを含むサービス業などで悪化した。
企業の規模別では、大企業、中小企業、小規模企業ともに3カ月連続で悪化した。大企業は同0.6ポイント減(47.5)、中小企業は同1.2ポイント減(43.1)、小規模企業は同1.5ポイント減(42.5)と、規模が小さいほど悪化幅が大きい。
サービス業の現在の景況感に関するコメントは次の通り。
「2度にわたる台風の襲来や天候不順もありレジャー需要が前年割れとなる中、消費税増税のマインド低下や燃料代などの物価高騰も消費意識を低下させている」(自動車賃貸)。
「飲食業をチェーン展開しているが、景気動向も芳しくなく業績もやや下降気味」(酒場・ビヤホール)。
「東京ではオリンピックやその周辺の整備事業が期待されるが、関西では目玉となる大きな事業がない。忙しいのは、台風等による災害復旧がらみのみ」(土木建築サービス)。