帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の今年5月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント増の43.0で、6カ月連続で改善した。10業界中8業界が改善したが、大企業と中小企業の規模間格差が調査開始以来最大となった。公庫では景気の基調判断を「規模間格差の拡大を伴いつつ、緩やかな上昇を持続している」とした。
10業界のうち、サービスは47.9で、同0・6ポイント増。5カ月連続で改善した。旅館・ホテルが同0.9ポイント増の49.1と、5カ月連続で改善。娯楽サービスは同2.5ポイント減の38.5と、6カ月ぶりに低下した。
製造は40.3で、同0.6ポイント増。12業種中7業種が改善し、2007年12月以来、5年5カ月ぶりに40を上回った。
運輸・倉庫は42.6で、同1.1ポイント増。ゴールデンウイーク中の国内旅行者数が好調で旅客運送が改善。07年10月以来の高水準となった。
規模別では、大企業が46.4で、同1.1ポイント増。中小企業が42.0で、同0.5ポイント増加した。大企業と中小企業の規模間格差は4.4ポイントで、3カ月ぶりに拡大。調査開始以来で最大となった。回答者から「中小企業にまでアベノミクス効果が現れていない」との声があがっている。
地域別では、10地域中8地域で改善。調査開始以来、初めて全地域で40台を上回った。
北関東は41.4で、同1.5ポイント増。円安で自動車関連業界が回復。震災復興の工事も増えるなど、5年10カ月ぶりに40超となった。
東海は44.2で、同1.4ポイント増。円安で機械や自動車が改善するなど、9カ月ぶりに全国10地域中第2位に上昇した。
東北は45.9で、同1.0ポイント増。震災復興に伴い製造業が伸びているほか、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンやNHK大河ドラマ効果で観光客が増加したことで、運輸・倉庫が改善。21カ月連続で全国10地域中第1位となった。
旅館・ホテルが回答した景況感は以下の通り。
「GW期間の天候が安定していたため、収益が増加」「個人客の旅行や東南アジアの観光客が増加し、経済効果の影響を受けている」「観光客需要は旺盛だが、今後は落ち着いてくる可能性がある」