帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の8月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.1ポイント増の44.7と、9カ月ぶりに改善した。「国内景気は輸出減速や設備投資意欲の低下が続き後退局面入りの可能性が高まっている中、公共工事の増加などが押し上げ要因となった」(同社)。業種別では旅館・ホテルが同0.4ポイント減の39.9と、3カ月連続で悪化した。
DIを10の業界別に見ると、4業界が改善、6業界が悪化した。
このうちサービスは同0.1ポイント減の50.7と、3カ月ぶりに悪化。サービス15業種では、旅館・ホテル、娯楽サービス、飲食店など9業種が悪化。情報サービスなど6業種が改善した。旅館・ホテルは「台風通過によるお盆時期の予約キャンセルや韓国からの訪日客減少が響いた」。
製造は同0.1ポイント減の41.4と、4カ月連続で悪化。機械製造(同2.5ポイント減の41.5)は「アジア向け輸出の減少や設備投資意欲の低下を背景に悪化が続き」、前年同月比では18.4ポイントの大幅減となった。
建設は同0.4ポイント増の52.1と、2カ月連続で改善。「国の国土強靭(きょうじん)化の取り組みを受けて、耐震補強や砂防ダムなどの防災関連を中心に公共工事の発注が活発化した」。
10の地域別では、6地域が改善した。
このうち北海道は同0.7ポイント増の46.4と、2カ月連続で改善。公共工事の増加傾向などで、建設、不動産、製造などの業界のDIが大きく改善。2013年12月以来、5年8カ月ぶりにDIが全国10地域中の1位となった。
九州は同1.3ポイント減の46.3と、3カ月ぶりに悪化。「インバウンドのキャンセル増加に加え、北部での大雨も悪化要因となった」。
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景況感について、観光関係の主な声は次の通り。
「韓国からのインバウンド需要が特に急降下している」(現在、悪い、不動産賃貸)。
「インバウンドや富裕層の消費意欲は根強い。しかしながら、天候不順や猛暑などの要因で売り上げが大きく左右される」(現在、どちらでもない、百貨店)。
「日韓の険悪ムードの中、航空機など交通機関の運航休止があり、観光業へのダメージは計り知れない」(現在、悪い、菓子小売)。
「暑い時期のため、入場者数が減少した」(現在、悪い、ゴルフ場)。
「お盆に台風が直撃し、リゾートホテルのキャンセルがあった」(現在、悪い、旅館)。
「消費税率引き上げの悪影響は小さくないと考える。円高が進行すれば、インバウンド消費は弱くなる」(先行き、悪い、楽器・楽器部品・同材料製造)。
「2020年東京五輪の影響で、インバウンドがさらに勢いづく」(先行き、良い、がん具・娯楽用品卸売)。
「東京五輪の特需が見込まれる」(先行き、良い、一般貸切旅客自動車運送)。
「韓国人観光客の減少による影響が出てくる可能性がある」(先行き、悪い、冷蔵倉庫)。
「東京五輪に向けて、運動・スポーツに対するニーズはますます高まると予想」(先行き、良い、フィットネスクラブ)。
「消費税の軽減税率が適用されない、ランチ中心の飲食店のために見通しは悪い」(先行き、悪い、一般食堂)。
「韓国のインバウンド減少や消費税の引き上げが悪材料」(先行き、悪い、興行団)。