帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の9月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.1ポイント減の49.4と、3カ月ぶりに悪化した。相次ぐ災害で北海道、近畿など被災地域を中心に景況感が悪化した。業種別では、旅館・ホテルが43.6で、同3.0ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。
DIを10の業界別に見ると、6業界が悪化、4業界が改善した。
このうちサービスは同0.1ポイント増の52.9と、3カ月連続で改善。15業種のうち、リース・賃貸、情報サービスなど8業種が改善。旅館・ホテル、飲食店など7業種が悪化した。旅館・ホテルは「相次ぐ災害により近畿地域などで訪日外国人観光客が減少した」ことなどが要因に挙がっている。
このほか改善は金融、建設、その他の各業界。
悪化は農・林・水産、不動産、製造、卸売、小売、運輸・倉庫の各業界。このうち運輸・倉庫は同0.8ポイント減の49.5と、3カ月ぶりに悪化した。人手不足の深刻化や、災害による観光客数の減少などが影響したと見られる。
10の地域別では、6地域が悪化、3地域が改善、1地域が横ばいだった。
このうち北海道は同3.2ポイント減の44.3と、4カ月ぶりに悪化。北海道胆振東部地震や停電の影響を受け、過去最大の悪化となった。サービスなどの業種で顧客の買い控えが発生。旅行者も減少した。
近畿は同0.5ポイント減の48.9と、3カ月ぶりに悪化した。地震、豪雨、台風21号など自然災害が続き、旅館・ホテルなどの業種でDIが大幅に悪化した。
南関東、中国、九州は改善。北関東は横ばいだった。
景況感に関する主な声は次の通り。
「北海道地震・停電による買い控えのほか、旅行者の減少も影響した」(現在、悪い、百貨店)。
「人手不足に加え、地震など震災により売り上げ低迷」(現在、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。
「台風および地震の影響に加え、停電により食材の廃棄や営業休止状態が続くなど、状況は厳しい」(現在、悪い、日本料理店)。
「6月の大阪府北部の地震、7月、8月の豪雨並びに猛暑、9月の台風21号による関西空港の閉鎖などが、宿泊利用客の減少につながった」(現在、悪い、旅館)。
「スポーツイベントの開催が消費行動につながると見ている」(先行き、良い、スポーツ用品小売)。
「最低賃金の上昇や人手不足の深刻化が経営にダメージを与える」(先行き、悪い、一般飲食店)。