全国個人タクシー協会は7月25日、東京都港区の品川プリンスホテルで「マスター事業者コンテスト第1回全国大会」を開催した。全国から予選会を勝ち抜いたマスター事業者20人が集まり、接客、接遇の技術を競い合った。全国規模の接客コンテストはタクシー業界では初めて。
マスター事業者とは、業界が自主的な取り組みとして始めた優良個人タクシー事業者認定制度(マスターズ制度)で最高位の三つ星を獲得した事業者のこと。一つ星、二つ星の認定を順に受け、業界以外の有識者で構成される「マスター認定委員会」で承認されれば、マスターになることができる。
マスターズ制度は1998年に創設され、今年で15年目。このたび初めてマスター事業者のトップを決める全国大会が開催された。
予選、支部大会は2012年度に1年かけて全国で行われた。
コンテストは接遇等の技能を競い合うと同時に、業界内外にマスターズ制度や接遇マナーのサービス向上に取り組む姿をアピールするのが狙い。
コンテストの冒頭であいさつした木村忠義全国個人タクシー協会会長は「法人タクシーの夢と希望である個人タクシーは、接客、接遇でも手本になるよう、質を向上させなければならない。全国トップクラスの接遇技術を各地に持ち帰り、タクシー業界全体のさらなるレベルアップを目指してほしい」と語った。
来賓の瓦林康人・国土交通省自動車局旅客課長は「来訪者にとって街の第一印象はタクシードライバーの接遇、接客で決まると言って過言ではない」とし「日本のタクシーは世界でも有数のサービスを提供しているとウェブサイトなどで評価されている。さらにレベルを上げて観光立国の一環として充実を図ってほしい」とあいさつした。
コンテストは自己PRと5分間のロールプレイングによって接客技術と基本技術が競われた。乗客役と2人一組で、模擬タクシーを使い、手荷物の受け取り、目的地までのルート確認、マスターズ制度の説明などの実演を行った。
優勝したのは関東・東京地区代表の安田昇司さん(東京都個人タクシー協同組合)。メダルと表彰状を受け取り「これを機にまた一段前進したい」と笑顔であいさつ。
審査員を代表して講評を行ったフリーアナウンサーの青山佳世さんは「レベルの高いコンテストで誰が優勝してもおかしくないほど僅差だった」と述べ、「他の人のおもてなしを見ることができるいい機会だったと思う。ヒントにして各地に広めてほしい」とした。
総評を行った木村会長は「どのタクシーに乗っても素晴らしいサービスが提供できるよう個人タクシーが先頭に立ってやっていく。今日を境に個人タクシー4万人が結束を固め法人タクシーと協力して業界の閉塞状況を乗り越えよう」と力強く語った。
優勝した安田さん(左)