今年5月19日に東京都新宿区に開業したHOTEL GROOVE SHINJUKU’ A PARKROYAL Hotel(西川克志総支配人)は、ダイバーシティ(多様性)、SDGs対応をテーマに掲げている。その取り組みの一環として自閉症という特性のある現代アーティストとして第一線で活躍している衣笠泰介氏が描いたオリジナルマグカップを、全538室に客室アメニティとして設置している。
マグカップにはさまざまな青色を用い、繊細な色使いで描かれたハートを中心に、アルファベットや数字などのモチーフが取り囲む作品をデザインに採用。また、SDGsの観点から使用後は土に返る素材を採用している。マグカップの評判は上々で、宿泊客からの問い合わせも多く販売を決定。ホテルが入っている東急歌舞伎町タワー18階のレセプションで購入できるようになる。価格は税込みで3300円。
同館では7月28日、このマグカップ制作を記念した交流会を催した。交流会には衣笠氏をはじめ、俳優の東ちづる氏、ホテルからは西川総支配人らが参加した。
東氏はさまざまなボランティア活動を30年以上続けており、2011年から誰も排除しない「まぜこぜの社会」を目指す一般社団法人Get in touchの理事長を務め、障害のある才能豊かなアーティストの発掘や企業とコラボした商品開発なども行っている。また、長きにわたり衣笠氏と「MAZEKOZEアート」プロジェクト活動をしており、「HOTEL GROOVE SHINJUKUのコンセプトを聞いた段階で衣笠氏を推薦した」(東氏)という。
衣笠氏は1989年京都市生まれ。2歳半で自閉症と診断されたがほぼ同時期に絵を描き始めた。「マジカル」とも評される色彩感覚と感受性で、光と色彩にあふれた世界を描く。その作品は国内外で高く評価され京都市内の自身のアトリエを拠点に、海外を含めた各地で個展を開催。併せて、さまざまな大手企業とのコラボを多数行い、製品化もされている。
HOTEL GROOVE SHINJUKUでは、このコラボアメニティの販売により、「滞在の思い出を持ち帰っていただくとともに、特性を持つアーティストのサポートが可能となる。特性を持つ人の才能を新宿という多様性のまちから、広く世界に発信していくとともに、彼らの社会参加と経済的自立を推進する」としている。
青が鮮やかなマグカップ
交流会で。右から順に西川氏、衣笠氏、東氏