消費税転嫁対策特別措置法が昨年10月1日に施行され、商品価格の表示について、従来の「総額表示」に加え、税額を別に表示する「外税表示」が2017年3月31日まで可能となった。組合員旅館・ホテルに外税表示を推奨する全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)は、「当館では、消費税を外税表示にしております」と明記したチラシを作成し、消費税率が8%にアップした4月1日までに全国47都道府県の旅館ホテル組合に配布した。
都道府県旅館ホテル組合は傘下の組合員旅館ホテルにチラシを郵送するなどして、外税表示についての理解を求めるとともに、顧客への周知など、その活用を促している。
全旅連が作成したチラシは「当館では、消費税を外税表示にしております」と大きく明記。その下に「消費税転嫁対策特別措置法の施行により、平成25年10月1日より平成29年3月31日まで、消費税の外税表示が認められることとなりました」「消費税は、宿泊(基本宿泊料、サービス料を伴う場合は、これを含む)及び飲食等の料金に課税されますので精算の際、税額相当分を別に申し受けます」などと記している。
全旅連では、このチラシを47都道府県の旅館ホテル組合にメールで配布。傘下の組合員旅館ホテルへの配布を呼び掛けた。
都道府県旅館ホテル組合はチラシに自県の組合名を入れたり、色を付けたりとアレンジするなどして、組合員旅館ホテルに郵送やメールで配布。これまでに36組合が組合員全員、6組合が希望者のみへの配布を終えた。
東京都ホテル旅館生活衛生同業組合は3月14日、組合員691軒全てにチラシを2部ずつ郵送。「消費税の表示方法につきまして、外税表示にするか、内税表示にするか、基本的には組合員各位のご判断におまかせいたしますが、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会並びに東京都ホテル旅館生活衛生同業組合といたしましては、実質収入が目減りしない『外税表示』をおすすめしております」とメッセージを添えて、チラシの有効活用を求めた。
神奈川県旅館生活衛生同業組合は全旅連が作成したチラシをもとに、5カ国語による客室用リーフレットとフロント用POPを作成。組合員272軒のうち、希望者約180軒に郵送した。同組合では昨年、2回にわたる外税表示に関する勉強会を実施。POPの見本を参加した組合員に提示している。
東京都旅組に所属する組合員の一人は、「4月1日からフロントの料金表示を総額表示から外税表示に切り替え、チラシも表示をする予定。総額表示にするか、外税表示にするかは旅館ホテルの個々の判断になるが、税金をお客さまからいただかないと経営にじわじわと負担が来るはずだ」。
また別の組合員は「4月1日からチラシをパウチ加工して、フロントに置く予定。うちは総額と外税を併記するが、総額表示でも端数をそのままにして、切りのいい数字に値下げも値上げもしない。税金はお客さまが負担をするもの、という意識を多くの人に持っていただきたい」と話している。
全旅連が作成したチラシ(右)と神奈川県旅組が作成したリーフレット・POP