全旅連は3日、宮城県南三陸町のホテル観洋で通常総会と理事会を開いた。今年度事業として、東日本大震災の際に全旅連と都道府県旅館ホテル組合、組合員旅館・ホテルがどう動いたのかを記録した本「命をつなぐ『おもてなし』旅館・ホテルの役割と挑戦」を作成したことを報告。チェーンホテルの全旅連への一括入会についても意見を交わした。
本は東日本大震災発生から約1カ月間、被災者の受け入れや旅館への融資対策で省庁と交渉した佐藤会長の行動録、東日本11都県旅館ホテル組合の被災者受け入れ事例、旅館・ホテルが震災など緊急事態が起きた際にも事業を継続できるようにするBCP(事業継続計画)策定のポイントを掲載したもの。観光経済新聞社が取材、執筆、編集協力した。2500部を作成し、総会翌日の全旅連全国大会で全ての参加者に配付したほか、国会議員、都道府県知事らにも配り、震災時に避難所として機能した旅館・ホテルの社会的重要性を認識してもらう。
佐藤会長は「東日本大震災でわれわれは525万泊の被災者受け入れを行った。南海トラフ地震が起きた時は900万人の避難民が出るといわれるが、われわれ全旅連の旅館・ホテルだけで1日150万人の宿泊キャパシティがある。いざという時に被災者の受け入れを行う宿泊施設については、耐震改修を行う時に5千平米未満の施設にも一般の避難所同様の支援を行ってほしいと国などに要望をしているところだ」と述べた。
大手チェーンホテルが全旅連への一括入会を求めている件では、入会金、年会費やNHK受信料取りまとめ契約の扱いなどについて現状を報告。今後予想される他のチェーンホテルの一括入会申し込みの件を含めて、今後の対応について都道府県組合理事長から意見を聴取した。
このほか26年度事業計画では「耐震改修促進法改正に伴う融資制度の充実」などを新たに追加した。
役員人事では、副会長2氏、常務理事3氏が新任。
懇親会には中華民国旅館商業同業公会全国連合会の徐銀樹理事長が出席。「日本と台湾の観光業、ホテル業のより一層の発展をお祈りする」とあいさつした。
【新役員】(敬称略)
副会長・北陸ブロック会長=石川県組合理事長安藤精孝▽同・東京ブロック会長=東京都組合理事長齊藤源久▽常務理事=埼玉県組合新理事長北堀篤▽同=青森県組合理事長中山大輔▽同=福岡県組合理事長井上善博▽専務理事=清澤正人
震災記録本「命をつなぐ『おもてなし』」