全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)はこのほど、冊子「旅館・ホテルにおける食中毒の予防と対策」を発行した。旅館・ホテルで多く発生している食中毒の病因物質にスポットを当て、それぞれの対策を紹介している。都道府県旅館ホテル組合を通して全国の組合員旅館・ホテルに配布する。
全旅連厚生委員会とシルバースター部会経営研究委員会を中心とする「衛生管理パンフレット作成委員会」(野澤幸司委員長)が公益社団法人日本食品衛生協会の協力を得て作成した9年ぶりのマニュアル。
冒頭で、最近旅館・ホテルで発生した食中毒の件数を病因物質別に紹介。それによると、ワースト1がノロウイルスで、以下、カンピロバクター、ウエルシュ菌、病原大腸菌、クドアの順となっている。
この五つの病因物質について、それぞれの性質や、食中毒を予防するための対策を詳しく述べている。
例えばノロウイルスの場合、「持ち込まない」(入室前の手洗いなど)、「拡げない」(嘔吐物の適切な処理など)、「加熱(殺菌)する」(食品の中心温度85~90度で90秒以上)、「つけない」(素手で食品に触れないなど)の4原則の徹底を示している。
また近年新たに特定されたクドアは、ヒラメなどに寄生する寄生虫で、汚染が疑われる食材は加熱(中心まで75度、5分間以上)または冷凍(中心までマイナス15度から20度、4時間以上)が必要としている。
巻末では正しい手洗いの仕方や、「HACCPの考え方に基づく衛生管理」を述べている。
A4判カラー16ページ。組合員旅館・ホテルに配布するほか、全旅連のホームページでも公開予定。