全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と楽天は5日、東京の全国旅館会館で「楽天トラベルの料金体系改定」についての協議会を開いた。楽天が来年4月から実施を予定している、宿泊料金に消費税を加えた総額に手数料率をかける新方式について、全旅連から組合員へのアンケート調査結果を踏まえて、楽天側に改めて撤回の要望を行った。
楽天は新方式を予定通り実施する方針を示したものの、トランザクションフィー(情報処理費用)の一部無料化やカード手数料の減額など、旅館・ホテルの負担を軽減する新たな取り組みを行う方針を示した。協議は今後も継続される。
全旅連は3月31日、楽天に新方式撤回の要望書を提出。5月18日に楽天から新方式を予定通り行うとの回答を得た。それを受け全旅連は組合員旅館・ホテルにアンケート調査を実施。今回、調査結果を示した上で、楽天側に再度撤回の要望を行った。
アンケートは6月29日〜7月10日に行い、2902軒の回答を得た。それによると、今回の料金改定について70.27%が「納得できない」、22.19%が「どちらともいえない」、7.54%が「納得できる」と回答している。
全旅連は「アンケート結果を重く受け止め、再度料金体系の改定に関するお知らせの撤回を要望する」と、全旅連インバウンド&OTA対策委員会の佐久間克文委員長、青年部の桑田雅之部長の連名で楽天の山本考伸執行役員トラベル事業長宛てに要望書を提出。
楽天側は「楽天グループとしてグローバル化を推進していくうえで、税も含めた取り扱い総額を事業成長の指標とする企業方針から、このたびの料金体系改定については今後も引き続き契約宿泊施設様に対する説明を行い、ご理解をいただけるよう努力する」と従来方針を説明。
加えて、旅館・ホテルの負担を軽減する新たな施策に取り組む考えを示した。
まず、顧客が宿泊料をカード決済にした場合、予約発生時に旅館・ホテルが負担する1回20円のトランザクションフィーについて、その予約がキャンセルになった場合には無料化する。前回までの協議会では、カード決済予約のキャンセル時におけるキャンセル処理分のトランザクションフィー1回5円を無料化する方針が示されたが、新たな事項が盛り込まれた。
また、カード決済の場合、旅館・ホテルにかかる2%または2.5%のカード手数料も下げる方針。
ノーショー(無断不泊)を減らすための施策も行う。楽天の非会員が宿泊予約を行った場合、メールアドレスが確実な連絡先であるかを認証するシステムを導入する。キャンセル料の自動徴収システムも導入。宿泊料がカード決済の場合、キャンセル料をカードで支払うか、旅館・ホテルに直接支払うかの選択を顧客に行ってもらう。
協議会には全旅連から北原茂樹会長、佐藤勘三郎会長代行ら、楽天から武田和徳取締役常務執行役員、山本考伸執行役員トラベル事業長らが出席した。