全国旅館生活衛生同業組合連合会青年部(井上善博部長)は14日、東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で臨時総会を開き、青年部発足(1969年)以来、初めてとなる選挙戦の投票の結果、次期部長に横山広大氏(高知県、土佐御苑)を選出した。次期部長には横山氏と森晃氏(長野県、旅館さかや)の2人が立候補していたが、横山氏が「利他精神」をモットーに「夢のある旅館業界づくり」に向けた事業の推進を訴えて当選を決めた。任期は2011年度から2カ年、来年4月の定時総会で新体制を発足させる。
次期部長選挙では、両候補者がインターネットなどを通じて所信を表明し支持を訴えた。臨時総会では都道府県部長による無記名投票が実施され、横山氏が25票を獲得、森氏の21票を上回った。無効票は1票だった。
次期部長に選ばれた横山氏は、投票前の最後の演説で「誰かのため、何かのために行動を起こす『利他精神』で最善を尽くす。旅館業界の疲弊をそのままにせず、もう一度たくさんの夢を旅館業に打ち出し、その実現に取り組みたい」と語りかけた。具体策には(1)夢を語り、実現に取り組むDREAM・RYOKAN・PROJECT(ドリーム・リョカン・プロジェクト)の推進(2)日本学生観光連盟との連携を通じた旅館の魅力発信や次世代の人材育成(3)時代に即した積極的な政治活動──などを掲げた。
一方の森氏は、宿泊需要の拡大に向けた取り組みの必要性を強調。休暇制度の問題を含めて旅行環境の整備などの観光政策論を展開し、「私たちがアイデアを提示する側にまわらなければ、観光の現状は変わらない。自ら観光の将来にビジョンを描こう」と訴えたが、わずかに及ばなかった。
初の選挙戦で得票数も僅差だったが、開票後には現職の井上部長を含めた3人で手を取り合い、今後も一致団結して旅館振興に取り組む決意を確認し合った。当選を決めてあいさつした横山氏は「選挙になったことで自分の考えをより明確にでき、森候補には感謝している。責任を持って次期部長を務めたい」と語った。
開票後に手を取り合う横山氏(写真中央)、森氏(同右)、井上部長