全日本ホテル連盟が経営者セミナー開催 ホテルの「コンセプト」戦略を議論


登壇者と参加者との対話も多く生まれた

 全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長=福井県・福井国際観光ホテルリバージュアケボノ)は3日、ホテル経営者向けセミナー「ホテル経営で大切にすべきファシリティマネジメントとコンセプト」を日本青年館ホテル(東京都新宿区)で開いた。ファシリティマネジメント(施設管理)を考える上でのコンセプトの在り方や、魅力的なコンセプトの作り方などについて、講演やパネルディスカッションを通じて議論を深めた。

 まず、清水会長が独立系ホテルが生き残るための経営戦略について講演。先代が旅館からビジネスホテルへ転換した際に語った言葉「脱皮しない蛇は滅びる」を紹介し、ホテル経営には変化に立ち向かう覚悟が必要だと語った。自身もまた、市場の変化に適応しながら、ビジネスホテルから観光ホテルへと転換。新たなホテルの価値を創出してきた経緯やその取り組みを紹介した。

 経営の成功要因として、「明確なコンセプトを持つこと」「市場でのポジションを確立すること」「ターゲットに合った空間づくりをすること」―などを挙げた。自身のホテルでは、「福井らしさ」を前面に打ち出し、福井産物や桜並木の美しい景観を取り入れた内装を採用。また、親子ベッドの導入や、レストランの和食からフレンチへの業態転換など、他にはないサービスを提供し、観光ホテルとしての個性を磨いてきたと説明した。

 施設づくりの観点からも、単なる維持管理ではなく、施設の価値を高める工夫が必要だと指摘。「空間の質」を重視するため、客室の改装時に設計士とは別にデザイナーを起用したことで、ターゲットに合った空間づくりが実現したと述べた。

 清水会長は「一度決めたらぶれない覚悟が大切」と、経営者が持つべき考えを示した。福井のホテル市場ではビジネスホテルが主流の中、観光ホテルへの転換はリスクを伴う決断だったが、信念を貫き、成功させた。その経験をもとに、変化を恐れず挑戦し続けることの重要性を改めて強調した。

   ◆   ◆

 続いて、全国各地でホテルプロデュースを手掛ける水星代表取締役の龍崎翔子氏が、「ファシリティの価値を高めるクリエイティブジャンプとは?」をテーマに講演。ホテルのコンセプト設計における独自の思考法を紹介した。

 龍崎氏は、現状と理想の間にあるギャップをロジカルな思考で積み上げるのではなく、「非連続な思考」でその差を飛躍的に埋め、理想を実現することを「クリエイティブジャンプ」と定義。「合理的戦略は他社も採用する可能性が高い。資本や労働リソースが限られる企業こそ、発想の飛躍が鍵となる」と語った。

 龍崎氏が説明したクリエイティブジャンプを生むステップは次の通り。

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