公正取引委員会は30日、青森市が発注した新型コロナウイルス感染症患者の移送業務を巡り、大手旅行会社5社に独占禁止法に違反する行為(不当な取引制限)があったとして、うち4社に排除措置命令を出した。また、5社が会員となっていた日本旅行業協会(JATA)に再発防止策を申し入れた。
違反の対象事業者は、東武トップツアーズ、日本旅行東北、名鉄観光サービス、JTB、近畿日本ツーリスト。このうち近畿日本ツーリストは、違反内容を自主的に報告した場合に課徴金が減免される課徴金減免制度の適用で排除措置命令の対象にはなっていない。
公取委によると、5社は2022年4月、各社の支店長クラスが協議し、青森市が指名競争入札で発注する移送業務について受注予定者を決定し、受注に協力するとともに、受注予定者は他社に受注業務の一部を委託することで合意したとされる。
また、公取委は、5社がJATA東北支部青森県地区委員会の会合の際に連絡を行っていた事実が認められたとして、JATAに対し、会員の法令順守の徹底などを求めた。