公正取引委員会は10日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで宿泊予約サイトを運営する大手OTA(オンライン・トラベル・エージェント)3社を立ち入り検査した。立ち入り検査先は、楽天トラベルを運営する楽天と、エクスペディア、ブッキング・ドットコムの東京都内の関係先。旅館・ホテルに対する宿泊料金の取引条件などが公正な競争を阻害していないか、実態の把握に乗り出した。
大手OTAの3社は、それぞれに契約する旅館・ホテルに対し、宿泊プランの料金設定で競合サイトや宿公式サイトと同等またはそれより安い価格にするよう求めるなど、不当な取引条件を付けた疑いが持たれている。
独禁法第19条は「不公正な取引方法」を禁止している。自由な競争が制限されるなど、公正な競争を阻害する恐れがある場合に規制される。「不公正な取引方法」の一つ「拘束条件付き取引」では、販売価格の自由な決定を不当に拘束するなどの行為が含まれる。
宿泊予約・販売のオンライン化が進み、大手OTAの市場シェアが拡大傾向にある中、公取委は、不公正な取引が行われていた場合、宿泊料金の価格決定などに関する自由な競争が阻害されている恐れがあるとして、立ち入り検査に着手したとみられる。
立ち入り検査を受けて楽天は10日、「当社は法令順守の徹底および企業の社会的責任に基づいた事業運営を行ってきたが、立ち入り検査を受けた事実を厳粛かつ真摯(しんし)に受け止め、検査に全面的に協力する」とのコメントを発表した。
他の2社も11日までに本紙の取材に回答。エクスペディア・ジャパンは「昨日(10日の立ち入り検査)は全面的に協力し、今後も本調査に積極的に協力する」、ブッキング・ドットコムは「公正取引委員会と現在協議している。今回の調査に関し全面的に協力をしていく」とのコメントを出した。