兵庫県洲本市とJTBパブリッシングは9日、JTBパブリッシング本社ビル(東京都新宿区)1階に「洲本市魅力創生課 東京事務所」を開設した。洲本市が市外に事務所を設けるのは初めて。新型コロナウイルスによる洲本市特産品の需要減への対応のほか、移住定住支援、サテライトオフィス誘致、ふるさと納税のPRなどを行う。
両者は、昨年9月に「特産品のブランディングや知名度の向上等を軸とした地域の振興及び活性化をすること」を目的に包括連携協定を締結。東京事務所は、移住の制度や支援事業の問い合わせ、空き家の紹介などを行う「淡路島洲本市首都圏移住センター」の機能も併設され、当面はオンラインを活用しながら、移住相談やセミナーを実施する。
同日には同ビル内で開所式を開催。洲本市の竹内通弘市長は「淡路島には3市があるが、少子化、高齢化、人口減少が進むなど、解決が難しい課題に直面している。JTBパブリッシングとは2017年からシティプロモーションやワーケーション、産業品のPRなどで連携してきた。企業力、営業力を借りながら地域活性化に努めたい」とあいさつした。
JTBパブリッシングの今井敏行社長は「東京8店舗で農産物を販売するほか、洲本市で45人泊を行うなどワーケーションの開発、提言などを行っている。JTBグループの力を発揮し、るるぶ特別編集版の発行や、直営飲食店舗『るるぶキッチン』でのプロモーションもより一層連携を密にして展開していく」と述べた。
21年度は、移住関連では、移住相談500件、移住説明会を6回開催(オンラインを含む)、ワーケーション、サテライトオフィスへの誘致を行う。
ふるさと納税関連では感謝祭イベントの2回実施、返礼品商品の監修(5品)、特産品PRではるるぶキッチンでのイベント、プロモーション(22年3月まで)、都内でのイベント、首都圏ホテル、飲食店、社員食堂での洲本市特産品フェア(10件)、食材の商品化などに取り組む。
今後について洲本市魅力創生課の塩寺肇課長は「全国30万件のファンを誇るふるさと納税だが、約4割が関東在住者。淡路牛やタマネギといった食、生産者の魅力を発信し、さらなるファンづくりに努めたい」と話す。同市のふるさと納税額は、両者の連携開始時の17年度は9億円だったが、19年度には24億円に。20年度は53億円まで拡大する見込みだ。
開所式に参加した今井社長(左)と竹内市長