「デジタル文化財」の提供を推進している凸版印刷は、島原・天草一揆の舞台をVR化した。
今回、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である長崎県南島原市の「原城跡」について、築城当時と島原・天草一揆時の原城を蘇らせるVRコンテンツ『原城』を制作しました。凸版印刷が2016年より展開する体験型VR観光アプリ「ストリートミュージアム®」(※1)にて、2018年8月1日から公開しています。
1604年に日野江城の支城として完成した原城は、有明海に張り出した丘陵に各郭(くるわ)が配置され、三方を海に囲まれた天然の要塞でした。江戸時代初期に廃城となったものの、1637年に起きた島原・天草一揆では、劣勢となった一揆勢が原城に立てこもり、決死の抵抗を続けました。島原・天草一揆の終えん後、幕府は原城が再び籠城の拠点とならないよう徹底的に破壊し、一揆勢の亡骸とともに土中へ埋め尽くしました。
今回、江戸幕府によるキリスト教の禁教をさらに強め、海禁体制の確立へと大きく時代を動かした貴重な遺跡の価値を、より分かりやすく後世に伝えていくため、原城の築城当時および島原・天草一揆時をVRで表現。GPSと連動して「原城跡」内の8か所でVRコンテンツを表示できるスマートフォンアプリとして公開し、観光客や市民に対し、現地で原城の歴史を体感できるVRコンテンツの提供を実現しました。
■ VRコンテンツ『原城』について
VRコンテンツ『原城』は、発掘調査で発見された遺構や絵図、類例調査から検討した往時の建物などを、VR技術を用いて表現することで、スマートフォンなどを利用して視覚的に体験できるコンテンツです。
■ 凸版印刷のデジタル文化財を活用した地方創生支援への取り組み
近年、自治体や商業施設などにおいて、訪日外国人をはじめとする旅行者の誘致による地域経済の活性化や、市民意識の醸成などによる、地方創生への取り組みが本格化しています。こうした中、VRやARなどの技術を活用して地域の文化資産をデジタルアーカイブ化・コンテンツ化することで、歴史理解の促進や新たな観光資源として活用する取り組みが拡大しています。
凸版印刷では、地域のさまざまな文化資産を人々が誇りを持てる観光資源として活用できる「デジタル文化財」を提供しています。VRコンテンツの制作はもちろんのこと、臨場感と没入感を体験できるVRシアターや、全地球測位システム(GPS)を組み合わせた体験型VR観光アプリ「ストリートミュージアムアプリ」など、最新のデジタル表現技術を用い、文化資産を活用した地方創生支援を展開しています。
※1 「ストリートミュージアムアプリ」について
「ストリートミュージアムアプリ」は、バーチャルリアリティ(VR)と全地球測位システム(GPS)を組み合わせた旅行者向け観光アプリです。現存しない城郭などの史跡を高精細かつ色鮮やかにVRコンテンツで再現し、スマートフォンやタブレット端末で位置情報と連動してその土地その場所ならではの体験ができます。旅行者は本アプリを利用することでVRコンテンツを通じてバーチャル観光が体験できるほか、音声による解説で理解を深めたり、現在の地図だけでなく当時の古地図を見ながら町歩きを楽しむことができます。松本城(長野県)や福岡城(福岡県)など、全国各地の史跡を1つのアプリで楽しめる史跡観光アプリとして、18コンテンツを公開しています(※2018年7月末現在)。
iOS :https://itunes.apple.com/jp/app/id1151091144?mt=8
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.toppan.streetmuseum.android
(※iOS 9以降、Android OS 5.0以降に対応、一部機種では正常に作動しないことがあります)
* 「ストリートミュージアム」は、凸版印刷株式会社の登録商標です。