日本旅館協会、HPに会員施設の求人情報
外国人の就労を拡大する新たな在留資格「特定技能1号」で初めて行われた宿泊業の技能測定試験の合格者が5月25日に発表された。受験者数391人に対し合格者数は280人。合格率は71.6%だった。国・地域別の合格者はベトナム、ネパール、中国が多い。技能測定試験の合格に加えて日本語能力の基準も満たした外国人は、旅館・ホテルと雇用契約を結び、地方出入国在留管理局に申請した在留資格の審査などが通れば、就労が可能になる。
宿泊業の技能測定試験は、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟が共同で設立した「一般社団法人宿泊業技能試験センター」が筆記・実技(口答)試験を実施した。
初の宿泊業技能測定試験は4月14日、国内7カ所で行われた。受験申し込みはほぼ定員通りの761人で、当日の受験者数は391人だった。今回は日本国内での試験だったことから受験者の中心は、留学生などすでに日本に滞在している外国人とみられている。
国・地域別の合格者数の上位は、ベトナムが131人、ネパールが40人、中国(香港・マカオ除く)が26人など。男女別の合格者数は、男性が143人、女性が137人。試験会場別の合格者数は、札幌が27人、仙台が20人、東京が88人、名古屋が31人、大阪が47人、広島が31人、福岡が36人だった。
特定技能1号による旅館・ホテルでの就労は早くて夏ごろからとみられる。出入国在留管理庁では、留学生などすでに日本国内に在留している外国人の場合、在留資格変更許可申請の標準処理期間を2週間~1カ月としている。海外から来日する外国人の場合は、在留資格認定証明書の交付申請となり、標準処理期間は1~3カ月という。
特定技能外国人の雇用を目指す旅館・ホテルにとっては、具体的な採用活動が課題。直接の求人以外には、公的職業紹介機関(ハローワーク)や民間の職業紹介事業者の活用が考えられる。宿泊業団体では、日本旅館協会が24日、ホームページ(HP)に会員旅館・ホテルの外国人求人情報の掲載を開始した。
また、雇用に当たっては特定技能外国人の就労や生活に関して、定められた支援を行う必要がある。旅館・ホテルが自ら実施できない場合には、国に登録した事業者「登録支援機関」に委託できる。出入国在留管理庁のホームページには、28日時点で193の登録支援機関が掲載されている。
今後の宿泊業技能測定試験は、海外会場を含めて実施する方向で調整されている。