観光庁によれば、11月13日から15日にイタリア・フィレンツェでG7観光大臣会合が開催され、秡川直也観光庁長官が出席した。G7の枠組みで観光大臣会合が開催されるのは今回が初めて。会合では(1)持続可能な観光(2)観光におけるAI(3)観光における人的資本(4)観光分野におけるG7のリーダーシップについて議論しており、(2)についてはブラジル、エジプト、インド、サウジアラビアといった招待国や世界観光機関(UN Tourism)も参加した。
日本からは秡川長官が各テーマに沿って日本の課題や取り組みなどについて説明。なかでも持続可能で強靱な観光については、11月に仙台市で開催した観光レジリエンスに関する閣僚級会合で、今後の取組の方向性を取りまとめたことなどを説明した。
観光庁によれば、会合の結果、G7各国は観光が持続可能な繁栄、多様性への理解、異文化間の相互理解や尊重、ひいては国際平和に資することのへの認識を改めて確認。観光分野でG7が率先して国際社会に貢献していくことの意義について共通理解が得られたという。さらに会合に基づきコミュニケも採択された。
コミュニケでは、平和維持、経済成長、持続可能で包摂的な開発の原動力としての観光の戦略的役割を強調。G7のメンバー国については2023年に世界の観光入込客数の43%を迎え入れ、世界の観光地への出国観光客数の41%を占めていることから「主要な観光地として、また送客元としての役割と責任を確認した」としている。
そのうえでG7各国が観光の発展のため、経済・社会・環境面における持続可能性の推進の強化、技能開発を通じた人的資本の役割の強化、関連リスクを管理しながらのデジタル化とAIの可能性の活用において「主導的な役割を担える」と強調。共有すべき目的として「持続可能で包摂的な発展のために観光の恩恵を広める」「ヒューマンファクター(人的要素)の強化」「デジタル化とAIの活用」の3項目を掲げた。