帝国データバンクによると、ホテル経営のホテル三泉閣(大分県別府市)は8月24日に大分地裁から、破産手続き開始決定を受けた。負債は約10億円。
同社は、1953年6月に創業。関係会社のホテル事業を継承する形で92年2月に法人改組した。別府市の中心部で「ホテル三泉閣」の運営を行うほか、館内の売店ではオリジナル商品でモンドセレクションの最高金賞を3年連続受賞した「コラーゲン温泉プリン」などを販売していた。
10階建ての館内には、露天風呂付きの客室を3室有するほか、源泉掛け流しの大浴場、大宴会場を設備。夏にはビアガーデンが開かれるなど、九州管内の観光客を中心に韓国や台湾、中国からのインバウンド需要も取り込み、2008年1月期の年収入高は約7億8千万円を計上していた。
しかし、団体旅行客の市場が年々縮小していることに加え、2016年4月に起きた熊本地震の影響で観光客が遠のき、2017年1月期の年収入高は約5億9900万円までダウン。
その後、熊本地震に関わる「ふっこう割」の活用やインターネットサイトでの集客強化などで利用客の確保に取り組んでいたものの、近時は新型コロナウイルスの影響で利用客が激減。4月16日に全国に「緊急事態宣言」が発令されて以降はホテルを休館していた。
5月25日に同宣言が解除されたが、過去の赤字で債務超過状態にあった上、年商を上回る有利子負債が重荷となり、事業継続を断念、今回の措置となった。