全国各地の温泉地の首長らが集まり活性化を探る、環境省主催の「全国温泉地サミット」が25日、大分県別府市のビーコンプラザで開かれた。サミットは3回目だが、地方での開催は初めて。約60自治体や観光団体の関係者らが出席した。
冒頭あいさつした環境省の池田幸士・自然環境整備課長は「活発な意見交換をして、各温泉地での施策の参考にしてほしい」と期待した。
同省は、温泉地の活性化に向け「新・湯治」を推進している。現代のライフスタイルに合った温泉地での過ごし方の提案で、山本麻衣・温泉地保護利用推進室長は推進プラン実現のため、(1)チーム新・湯治の活動(2)温泉地で過ごすリフレッシュ効果を全国で測定(3)国民保養温泉地の活用(4)国立公園満喫プロジェクトと連携したインバウンドの取り込み―などに取り組む方針を示した。
チーム新・湯治は温泉地を中心とした自治体、団体、企業などによる情報・意見交換ネットワークで、同省が参加を募ったところ、20日現在、100の団体・個人が名乗りを挙げているという。
内訳は、▽自治体が北海道豊富町、群馬県安中市、静岡県熱海市、大分県竹田市など17件▽観光協会・温泉協会が福島・土湯温泉観光協会、群馬・草温温泉観光協会、栃木・塩原温泉旅館協同組合など14件▽企業が全日本空輸、バスクリン、KNT―CTホールディングスなど21件▽団体がONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構、公益財団法人日本交通公社など14件▽旅館・ホテルが水明館、風雅の宿長生館など14件▽個人が19件。
官民連携による温泉地活性化についての発表もあった。
別府市の長野恭紘市長は「湯~園地」や「別府ONSENアカデミア」などの取り組みを報告。また、入湯税の引き上げについて触れ、来年4月から宿泊料金6001円以上5万円以下250円、5万1円以上500円を徴収する考えを示した。500円は全国最高額となる。
熱海市の齊藤栄市長は観光ブランドプロモーションを紹介。バラエティー番組やドラマなどを誘致する「AD(アシスタントディレクター)さん、いらっしゃい!」事業では、2012年度62件だった実績が16年度では114件に達し、熱海の露出機会のアップにつながったという。このほか、別荘所有者の来訪を促進することで、飲食店の魅力アップやにぎわいを創出する「別荘コンシェルジュ」にも力を注いでいるとした。
チーム新・湯治の横断幕を掲げる全国温泉地サミットの参加者