日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の景気動向等調査の1~3月期分を公表した。同期のホテル・旅館の業況判断DI(前期比で好転の企業割合から悪化の企業割合を引いた値)はマイナス27・5で、前期(昨年10~12月期、マイナス1・7)比25・8ポイント減と大きく低下した。ただ、前年同期(昨年1~3月期)比は1・9ポイント上昇した。生活衛生関係営業全体はマイナス32・2で、前期比12・1ポイント低下、前年同期比0・2ポイント上昇。公庫では同期の景況について「緩やかな持ち直しの動きが見られる」としている。
同期は15業種全てがマイナス水準となった。前期から上昇したのは氷雪、映画館、公衆浴場の3業種。
来期(4~6月期)の業況見通しは、ホテル・旅館が今期比21・7ポイント増のマイナス5・8。生活衛生関係営業全体は同24・1ポイント増のマイナス8・1。
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ホテル・旅館業の特徴的な動きは次の通り。
「地元観光地へのインバウンドの増加に伴い宿泊客数が増加したものの、突発的な修理箇所等の発生で修繕費がかさんでおり、利益の増加までは至っていない」(今期、不変、茨城県)。
「外国人観光客は好調に推移しているが、すでに高い水準の状態となっていることから、来期についてはこのまま推移すると見ている」(来期、不変、神奈川県)。
「外国人観光客が継続的に増加していることが、最大の好転要因となっている」(今期、好転、山梨県)。
「2017年4月以降、毎月最高稼働率を達成している。インバウンド客は、少人数の利用が多く、最近は韓国のお客さま利用が増加している。稼働率が限界に近い数値になっているため、来期も同水準の宿泊客需要が予測される」(来期、不変、静岡県)。
「今年は7~8月にかけて三重県でインターハイが開催されるため、その予選など高校生の団体の予約等がすでに数件入っていて、今後も続くと考えられる」(来期、好転、三重県)。
「大阪や京都のホテルラッシュによる、個人客やインバウンドの減少、単価の下落などが見込まれ、大津地域では業況が悪化すると思われる。また天候不順の影響による野菜価格や原材料費の高止まり、原油価格高騰による燃料調達費の上昇、電力料金等全般的な原価の押し上げなどによる収支への影響と個人消費の落ち込みが懸念される」(来期、悪化、滋賀県)。
「商用者の宿泊が減少傾向にあるのは今後も変わらないと思われる。春以降は観光客やお遍路さんの宿泊者が増加するとの期待を込め不変と判断する」(来期、不変、徳島県)。
「インバウンド客(特にアジア)の増加によりほぼ満室の状態が続いている。単価は比較的低いが採算は問題ない。今後とも継続的に集客が見込める状況」(今期、好転、愛媛県)。
「大手ショッピングセンターの増床工事関係者の長期宿泊があった。また、プロ野球等のキャンプ見学者の宿泊が増えた」(今期、好転、宮崎県)。