北海道胆振東部地震の発生で観光に影響が及んでいる。
日本旅館協会北海道支部連合会の浜野浩二会長(定山渓グランドホテル瑞苑)は「定山渓温泉(札幌市)の当館では、国内客、訪日客ともにキャンセルが相次いだ。旭岳温泉(東川町)のグループ旅館では、紅葉の9月が一番の書き入れ時で事前予約は好調だったが、キャンセルが続出した。影響は震源地から遠く離れた地域など、北海道全域に及んでいる」と話す。
政府など関係機関への要望として浜野会長は、「ふっこう割」など旅行需要の回復に向けた支援策の早期実施を挙げる。「拡大を続けてきたインバウンドの潮目が変わってしまわないよう、海外への正確な情報発信、風評被害の払拭(ふっしょく)が必要」とも指摘。関係団体と連携して対策を講じていく。
道内の市町村は、風評被害払拭に向けた対応を進めている。
函館市は、地震後も平常通りの観光スポットや夜景、観光客の様子を収めた1分半の動画を作り、観光情報サイト「はこぶら」で公開した。
倶知安町は、宿泊施設、アクティビティなどに被害がなく、通常通り利用できることをホームページなどで発信している。
登別市は、市長、観光協会長連名で「市内の観光地は大丈夫」との手紙を旅行会社に出すほか、他町と連携して台湾へのトップセールスを予定している。
洞爺湖町は、メディアを使った中国、韓国、台湾への宣伝を予定するほか、4月28日から10月31日までの「洞爺湖ロングラン花火大会」を地震後も継続開催する。宿泊客への歓迎と、停電で不安を感じている観光客や町民に元気を与えようと、地震当日も打ち上げた。
旭川市は、食のイベント「北の恵み食べマルシェ」(9月15~17日)を予定通り開催した。イベントを通じて管内の情報を正しく伝えようと、開催に踏み切った。