北海道観光振興機構は8日、旅行を通じて心身の健康作りや回復につなげるケア・ツーリズムの推進を考えるセミナーを札幌市内で一部オンライン形式により開催した=写真。道内各地の旅行会社や観光事業者、自治体関係者ら約110人が参加。高齢者や障害者向けの旅行企画やサポートに取り組む会社の役員で脳神経外科医である道下将太郎氏の講演を聞き、ケア・ツーリズムの在り方を探った。
講師の道下氏は、「国民一人一人がより長く健康で活躍できるよう予防医療に力が注がれているが、基本はlife Style Medicine。私は生活処方箋と訳しているが、食事や運動、リカバリー、モチベーションをいかに確保するかが大事で、高齢者や障害者にここをサポートして楽しんでもらう取り組みが必要だ」と説明し、自身の会社で立ち上げたケア・ツーリズムの取り組みを紹介。
また、地域での受け入れ態勢も金沢や名古屋、神戸などで広がりつつあると話し、「地域での受け入れには、バリアフリーの施設でなくても、医療従事者が同行するので問題ない。必要なのはハート面のバリアフリーだ」「理学療法士などが協力できる仕組みを作れば市場は大きく広がる」などと強調した。
観光振興機構では、ケア・ツーリズムの推進を重点施策の一つに据えて積極的に取り組むことにしており、「従来のメディカル・ツアーなどとは違ったものなので、引き続きセミナーや勉強会を開きながら、地域や観光関係者としっかり連携して進めたい」と話している。