北海道観光機構は道産ワインの魅力を伝え、広げようと、ホテルや飲食店の接客スタッフを対象としたワイン産地を訪ねる現地研修会を10月29~31日の間、3回に分けて実施した。札幌や苫小牧、滝川のホテル・飲食店から計42人が参加。
参加者は岩見沢市と三笠市の三つのワイナリーを見学して責任者から説明を受けながら試飲。その後、道産食材を使った料理を提供している岩見沢市のホテルでワインとの組み合わせなどを学び、料理を試食して意見交換を行った。
参加者からは「実際に現地を見学して道産ワインの理解が深まった。実感を持ってサービスに当たることができる」「土質や日照などワイン用ブドウの栽培は非常に繊細で手間がかかることを知り、醸造家の情熱に心を打たれた」「数種のワインを飲み比べし、マリアージュも試食して勉強になった。今後への引き出しを増やすことができた」「和食にも合うワインが思ったよりたくさんあると感じた」との声があった。
一方、「店舗での提供には輸入ワインに比べ高価格になり扱いづらい」「さらに知名度アップに向けた取り組みや産地のブランド化が必要ではないか」との意見も出された。ワイナリーの責任者からも、「産地をブランド化することによって、観光や地域づくりにも大きくつながる。地域との連携を大事にしていきたい」との発言があった。
北海道におけるワインづくりは、近年、急速に広がり、ワイナリーの立地数もこの10年間で約3倍の68軒に増加。特に現地研修を実施した岩見沢を中心とする空知地域や、小樽や余市、仁木を中心とする後志地域には30軒を超えるワイナリーが立地し、ワイン用ブドウの栽培も盛んだ。
観光機構では、道産ワインの魅力を生かしたワインツーリズムの推進を北海道観光の柱の一つに据え、ワイン産地のPRや地域の人材育成、受け入れ態勢づくりの支援に力を入れている。
観光戦略部の澤山英治部長は、「ホテルや飲食店を対象とした現地研修は初めての実施だが、実際に観光客に接する立場の方々に現地を見ていただき、理解を深めてもらうことができた。皆さんの力も借りて国内外に道産ワインの魅力をアピールし、北海道観光を盛り上げていきたい」と意欲的だ。
ブドウ畑を見ながら説明を聞く参加者
ワイナリーで説明を受けながら試飲する参加者