北海道運輸局と北海道開発協会は10月22日、地域住民・旅行者双方の理解と協力から生まれる持続可能な訪日観光の在り方を考える「北海道インバウンドフォーラム」を札幌市内のホテルで開催した。
自治体や観光協会など観光関係者約70人が参加。「熊野古道」がある和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューローの多田稔子会長の講演とDMOの責任者らによるパネルディスカッションを通じ、地域における取り組みを考えた。
講演で多田会長は、「世界に開かれた持続可能な観光地づくり」と題して、熊野地域での訪日客向け観光の歩みを紹介。
「2004年の世界文化遺産登録で観光客が殺到したが、じっくり歩くことで分かる古道の良さが伝わらない状況から、日本の歴史や文化をしっかり感じたいとする欧米豪からの個人客にと視点を移した」「地元では外国人の受け入れに尻込みもあったが、住民向けのワークショップを60回以上も開催し、住民理解と受け入れのレベルアップに力を入れた」、そして「古道は市町村をまたぐので、地域間の連携や細かいニーズに対応できる着地型旅行会社である現在のビューローを設立した」ことなどを説明。「外国人が訪ねてくることで地域の誇りとなり励みにもなり、宿泊施設でのマナーも良く喜ばれている」と話し、「一過性のブームでなく、地域文化を大切にする観光地を目指すという高い意識を地域全体で共有して取り組んでいくことが重要だ」と強調した。
会員向け記事です。