国土交通省はこのほど、外国人見学者の受け入れ態勢について、博物館などを対象に実施したアンケート調査の結果をまとめた。文部科学省と共同で昨年12月に実施。博物館法に基づく登録博物館や博物館相当施設178館から回答があったが、館内の展示資料を外国語で表記しているのは、全体の5割程度にとどまっていることが分かった。
展示資料の外国語表記を実施しているのは95館、全体の53.4%だった。このうち48館は展示資料の名称のみの表記。言語別では英語だけが82館、英語、中国語(簡体字)、韓国語をそろって表記しているのは5館だけだった。
順路やトイレなど館内の案内表示についても外国語表記は80館、全体の44.9%、ホームページの外国語での表記も72館、40.4%でしか実施されていない。館内の案内所(窓口)に外国語に対応できる担当者がいるのは32館、18.0%だった。
一方、パンフレットやガイドブックを外国語で作成しているのは、142館、79.8%に上ったが、英語のみの表記が74館だった。
外国人向けに施設の情報を発信するために地方公共団体や観光協会と連携して取り組んだ実績があると回答した施設は44館、24.7%と少なく、外国人観光客誘致への連携が不足している実態もうかがえる。
政府の観光立国推進基本計画では、博物館や美術館などについて、国、独立行政法人が設置したすべての施設で複数言語による案内・表示を行い、その他の主体が設置した施設も複数言語化を奨励することを目標に掲げている。国交省観光資源課では「文部科学省などと連携し、外国人旅行者の受け入れ態勢の充実に向けた取り組みを促進したい」としている。