厚生労働省は4月30日、「ホテル業」の職業能力評価基準を改訂した。中央職業能力開発協会(JAVADA)が、日本ホテル協会(中村裕会長)、ホテル業界OBなどで構成するNPOシニアマイスターネットワーク(作古貞義理事長)と連携しながら、基準作定普及委員会(座長=岡本伸之帝京大学教授)を設置の上、内容を再検討。04年9月に公表した基準を改訂した。今回新たに(1)モデル評価シート(2)判定目安表(評価ガイドライン)(3)モデルカリキュラム──を設けた。
今回の改訂で、厚労省の職業訓練支援制度「ジョブ・カード制度」のホテル業界への普及を加速する。
ジョブカードとは、職務経歴、学習歴・訓練歴、免許・資格取得、キャリアシートなどの各用紙からなるファイルのこと。キャリアコンサルタントと呼ばれる有資格相談員が記載内容の確認作業を行う。いわば職務経歴と遂行能力の公的証明書。
新基準ではホテル業の職種を「宿泊」「レストラン」「宴会」「営業・マーケティング」「施設管理」「環境対策」「危機管理」「経営戦略」の8つに分類。それぞれについてレベル1(スタッフ)、レベル2(シニアスタッフ)、レベル3(スペシャリスト・マネージャー)、レベル4(シニアマネージャー)の5段階を設定した。ホテル業界は人材の流動性が比較的高い業界だが、人のつながりでの転職が多く、人材を客観的に評価する統一基準が04年までなかった。「旅館業」には現在、職業能力評価基準は存在しない。このためJAVADAは最短で2年後の完成を目途に検討に入った。