和歌山県は11月16日、同県白浜町のリゾートホテルラフォーレ南紀白浜で、「わかやま『おもてなしの宿づくり』セミナー」を開いた。同県の旅館・ホテル経営者、支配人、調理長など約100人が受講。旅館・ホテルの改革をテーマに、設計、経営、料理の3分野で専門家が講義した。
設計は株式会社アーキテクト・ケイの松葉啓代表取締役が「新時代における『おもてなし設計』による集客術」を講演。ターゲットを絞った設計、正しい設備投資について解説した。差別化、個性化が不可欠な時代にコンセプト作り、また設備投資実行の時期と内容が重要と指摘。パブリックスペース強化による集客術も事例を交えて紹介した。
経営は合同会社雅楽舎の孫田猛代表が「利益を出し続けるための10の鉄則」と題して講演。「インプット↓カスタマイズ↓アウトプット」の重要性を解説した。経営者の考え方、ビジョン、意思を統一することが大前提と説いた上で、徹底した月次予実管理が経営のカギとなると指摘した。
料理は有限会社和心紡の大山広幸取締役が「料理で流行る施設づくり」と題して講演。宿の名物料理を生み出すためには、まず地域と宿の現状を正確に把握することが重要とした上で、コンセプト作りや地元食材と名産品の洗い出し方法を説明。実際の事例を交えて紹介した。
和歌山県の山西毅治観光局長が主催者あいさつで、「県の昨年の観光入り込み客数は過去最高の約3340万人。大手宿泊予約サイトで2年連続で国内旅行先年間伸び率ランキング第2位を記録するなど、国内外から注目をいただいている。さらなる宿泊客の増加を望む上で、観光産業の中核を担う宿泊業のおもてなしは欠かせない。セミナーを通じて皆さまにより一層理解を深めていただければ」と述べた。
高級旅館開設促進の奨励金制度を開始
和歌山県は9月に観光客の受け入れ態勢強化の一環として、ラグジュアリーホテル、高級ホテル・旅館の開設を促進する奨励金制度(累計限度額3億円)を創設。ラグジュアリーホテルなどの建設費や取得費、建物の賃借料を補助する。また、雇用奨励金も設け、新規地元雇用を拡大する。平成30年度末までに県と宿泊施設開設について協定を締結した場合に限定。
問い合わせは和歌山県商工観光労働部企業政策局サービス産業立地室TEL073(441)2746。