和歌山県白浜町、観光防災ポータル整備を加速


防災画面

 和歌山県白浜町で、観光防災ポータル整備への取り組みが加速している。このほどクラウド・IoTシステムの構築支援事業などを展開するウフル(東京都港区、園田崇史社長)などが事業を受託。同町が従来持つ観光や防災に関する情報や、リアルタイムの交通情報などをひもづけした観光防災ポータルの開発、整備を進める。平時と災害時それぞれで必要な情報を同じ地図上で閲覧可能にすることで常に来訪者が安心して観光を楽しめるようにし、観光客の増加や地域活性化を図りたい考えだ。

 これまでも地方自治体と連携して、スマートシティ関連の取り組みを進めてきた実績を持つウフル。ICT企業の誘致やワ―ケーション事業に積極的に取り組む白浜町にも2019年からオフィスを構えており、地元在住者を社員として採用。地域密着での社会課題の解決に取り組んできた背景を持つ。

 今回の受託事業は、コミュニケーションアプリ「LINE」との連動などでソフトバンク(東京都港区、宮川潤一社長)、災害対策については一般社団法人の災害対策トレーニングセンター支援会(同目黒区、代表理事=目黒公郎・東京大学生産技術研究所教授)と連携して取り組む。

 観光防災ポータルにはウフル開発のデータ連携基盤を活用。白浜町が従来利用してきた「白良浜ライブカメラ」やデジタルサイネージ、交通量調査システムなどを連携させ、観光客らが地図上から、白良浜の様子や交通量から導いた白良浜観光エリアの混雑度などの情報を得られるようにする。ハザードマップや避難所情報も観光情報と併せて掲載する。

 管理、運用面でのシンプルさも追求。従来、町内の飲食店などの営業情報は事前に提供された店の休日などを掲載するだけだったが、店側がワンプッシュで店の現在の営業状況など、最低限の情報を切り替えられる機能「しらはまスイッチ」を装備。最小限の手間でリアルタイムの情報を提供できるようにした。

 災害時にはしらはまスイッチを使い、避難所の受け入れ可能人数などをリアルタイムで掲載、更新できるのが特長だ。

 駅や主要観光スポットなどに置く、観光防災ポータルと連携させたデジタルサイネージには広告枠を設定。観光客への訴求効果を売りに全国区の宿泊事業者などに販売したり、地元店舗などに向け地図上のアイコン広告を販売したりすることで、持続的に収益化できる体制づくりも図る。

 今後は来年3月までに、地元のイベントなどでの実証実験を10回程度実施。アクセスデータ解析や防災に関する有識者の意見の反映などを重ね、来年度からの本格的運用を目指す予定だ。

 ウフルの園田社長は、「日本の観光地は季節変動や人手不足などの課題を抱えている。既存のものを生かし、オン・オフ、災害時に関わらず情報提供でき、DX人材が少なくても簡単に使えるポータルは有用だ。将来的には観光協会などに移管し、収益面でも地元に還元しながら自走できる仕組みにしたい」と意欲を示した。


観光画面


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