和歌山県日高管内全市町と日高広域観光振興協議会(金﨑昭仁会長)、ユニスト・ホールディングス(ユニストHD、今村亙忠代表)は10日、熊野古道・紀伊路の価値向上と地域振興に関わる連携協定を締結した。宿泊施設の不足などが課題となっていた同地域で空き家活用による宿泊施設の確保や食事メニューの開発に連携して取り組み、2030年に熊野古道周辺に30億円規模の商圏創出を目指す。
連携協定を結んだのは、日高振興局管内の御坊市、美浜町、日高町、由良町、印南町、みなべ町、日高川町の7市町と日高広域観光振興協議会、ユニストHD。
ユニストHDは、大阪・天満から熊野本宮大社に至る熊野古道の伝統文化の継承とそのための地域経済の活性化などに着手。中辺路での宿泊施設整備などに取り組んできた。
この一環として、「紀伊路SCAPE事業」を立ち上げ、天満から和歌山・田辺に至る、「熊野古道紀伊路」を活用した商品開発の可能性などを調査、検討。大阪から10日間かけて熊野古道を徒歩などで巡るプランの実現に向け、古民家を活用した宿泊施設の整備や地元産品を使った食事メニューや土産物の開発を進めることになり、これに各市町などが連携することになった。
宿泊施設については、天満から田辺の間に20~30キロおきに10~20人程度が泊まれるような施設を整備する予定。メインターゲットは、新たなインスピレーションや視点を求める40~50代の外国人経営者に据える。
協定締結式であいさつした今村代表は「大阪までつながる紀伊路は、エスケープ開発のファーストモデルとして、紀伊路に隣接し、また峠や山里、砂浜など豊かなバリエーションがそろっている日高地域は非常に重要だ。この熊野古道の再生と魅力向上には自治体の熱量が欠かせない。連携により地方に経済を運ぶきっかけとなる事業をどんどん生み出していきたい」と意欲を語った。続いて各市町の首長らがあいさつ。このうち三浦源吾御坊市長は、「紀南への行き帰りに紀中の素晴らしい観光資源に立ち寄ってもらおうとこれまでも1市6町広域で取り組んできたが、これからは官民での連携も重要になってくる。今回の計画が日高に人を呼び込む起爆剤になるよう、一緒に計画を実現していきたい」と期待感を示した。
協定の調印式