四国の観光振興を考える「四国観光戦略に関する官民会議」が6日、香川県琴平町の湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭で開かれた。観光庁の久保成人長官をはじめ官民の観光関係者約20人が出席。意見交換では、四国には十分な観光資源があるが、誘客への活用は不十分と課題を提起。地域の歴史や文化に根差した資源を見つめ直し、官民間、地域間の連携を強化して観光客誘致に生かす取り組みの重要性などを確認した。
官民会議には観光庁の久保長官のほか、文化庁文化財部の大和智文化財鑑査官、日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長、日本観光振興協会の見並陽一理事長、日本旅館協会の近兼孝休会長、四国運輸局の丸山研一局長、四国ツーリズム創造機構の平尾政彦事業推進本部長、日本旅行業協会中四国支部の青木尚二支部長、日本航空の上川裕秀取締役専務執行役員らが出席した。
観光庁の久保長官は、会合の開催地となった琴平町の金刀比羅宮、こんぴら歌舞伎、日本旅館などの観光資源に触れた上で、「四国は日本固有の文化が深く根ざした地域。これは観光立国が目指す姿の一つであり、官民で観光への取り組みを議論する場としてふさわしい。四国での議論の成果を全国に広めたい」とあいさつした。
四国観光の現状は四国運輸局が説明。四国4県の2012年の延べ宿泊者数(従業員10人以上の宿泊施設)は、905万4千人泊で全国に占める割合は2.5%、外国人に限ると11万6千人泊で0.5%にとどまる。
四国の延べ宿泊者数は、面積がほぼ同じ北関東3県(群馬、栃木、茨城)の1772万9千人泊に対して約半分。延べ宿泊者数が全国に占める比率も、沖縄県の3.8%(外国人に限ると3.1%)を下回る状況にある。
四国運輸局の丸山局長は、四国の主要な観光資源を挙げながら、「資源は豊富にあるが、十分に磨き切れていないのが現状。特に、充実した歴史的、文化的な遺産をいかに生かすかが課題」と説明。全国平均を上回るペースで人口減少、高齢化が進む四国には、地域資源を生かした観光交流人口の拡大が急務と指摘した。
琴平町で旅館を経営する日本旅館協会の近兼会長は、来年に開創1200年を迎える四国八十八ケ所霊場、日本最古の芝居小屋「金丸座」で行われるこんぴら歌舞伎などの国内外へのPRに熱意を示すとともに、「観光庁や文化庁の力を借りながら、文化、歴史などの地域資源をさらに掘り起こしたい。資源の活用に向けては観光地づくりを地域間で学び合う機会がもっと必要」と述べた。
日観振の見並理事長も「観光振興を通じて地域の人々が地元の魅力に気づき、それを守り、継承していくことが大切。地域の歴史、文化を基軸にしたオールジャパンの取り組みを推進する態勢づくりを」と提言。インバウンドの観点からは、JNTOの松山理事長が「資源はあるが、誘客に結び付かないという状況は日本全体にもあてはまる。売り込む資源を絞り込むことも必要」と指摘した。