厚生労働省は2月28日、新型コロナウイルス感染症に伴う対策として打ち出していた雇用調整助成金の特例措置を拡充した。当初は日中間の旅行者の急激な減少で経営が悪化している事業者が対象だったが、感染症の影響を受ける全ての事業者に対象を拡大した。旅館業や旅行業、運輸業の場合、中国関係以外の日本人旅客などの売り上げ減少でも活用が可能だ。
雇用調整助成金は、経済上の理由で事業の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を一時休業させたり、教育訓練を行ったりして雇用を維持した場合に休業手当てや賃金の一部を助成する制度。
当初の対象は、前年度または直近1年間の中国関係の売上高や客数などが全体の10%以上で、日中間の往来の急減で影響を受ける事業者だったが、特例措置の拡充後は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全ての事業者が対象になった。
雇用調整助成金は、通常では「最近3カ月間」の売上高などの月平均値が、前年同期と比べて10%以上減少していることが要件だが、特例措置の場合、この比較期間が「最近1カ月」に短縮されている。
適用は2020年1月24日~7月23日の間に開始の休業など。助成を受けるには休業等計画届の事前提出が必要だが、1月24日以降に初回の休業などがある場合は、5月31日までに提出すれば、事後の提出でも認める。
助成率は休業手当てなどの負担額に対し、中小企業で3分の2、大企業で2分の1。支給限度日数は1年間で100日。
問い合わせは厚労省の都道府県労働局まで。