国観連、“融通”きく予約 実証へ


 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1203会員)は12月から、客室流通の効率化、高度化に向け、専用ウェブサイトから旅館の宿泊プランを直販する実証事業を行う。昨年度の実証事業に続く第2弾。宿泊客の部屋や料理に対する多様なニーズにこたえたり、客室の割り振りを効率化できたりする“融通”のきく宿泊予約システムを採用。顧客の満足度を高めながら稼働率の向上と利益の最大化を目指す。販売に際しては商慣習を見直し、宿泊と食事それぞれの料金の明示にも取り組む。

 実証事業は、深夜にチェックインできる宿泊プランなどを直販した昨年度の試みに続くもの。宿泊予約システムやコールセンターのサービスを手がける複数の企業、団体と連携して取り組む。観光庁の観光産業イノベーション促進事業の支援事業に採択されている。

 使用する予約システムは、独立行政法人・産業技術総合研究所が開発した「融通予約」システム。部屋と食事メニューを自由に組み合わせた予約が可能なほか、宿泊客が特定の部屋を希望する際、すでに先約があっても、先約客に部屋指定の意思がなければ、リアルタイムに新たな予約を割り込ませて部屋を振り替えるなどの“融通”のきく機能が特徴。

 実証事業では、部屋や料理に“こだわり”を持つ宿泊客には多様な選択肢を、部屋や料理にこだわらない“おまかせ”の宿泊客に対しては通常料金からの割引を提示。予約に際しては、客室を効率的に割り振る機能などを試す。こうした実験的な試みが新たな需要の創出や販売機会のロスをなくすのに効果があるのかを検証する。

 また、旅館の料金は1泊2食付きの表示が一般的だが、宿泊プランの販売に際して部屋や食事の選択肢を提示するため、客室料金、食事料金それぞれの明示も試みる。宿泊単価の下落、低価格を売りにする旅館の参入などの市場環境を踏まえ、「泊食の料金明示を通じ、サービスの価値に見合った料金であることを消費者に知ってもらう狙いもある」(国観連・小関政男専務理事)。

 今後、国観連会員の中から参加旅館を募り、12月11日にオープン予定のウェブサイトから宿泊プランを販売してもらう。実証期間は来年3月まで。国観連では、実証事業を顧客の視点に立った商慣習の見直し、客室流通の構造改善につなげる契機としたい考えだ。

 また、客室流通の実証事業の一環として、外国人旅行者の宿泊予約を増やすためのマーケティングも試みる。国観連は、海外から宿泊予約が受けられるオンライン環境を提供しているペガサスソリューションズと契約している。契約に基づきオンライン環境の接続準備を進めている会員旅館は約50軒に上ることから、予約獲得に向けたセールスの方策などを検証することにした。

 
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