地域一体となった観光地経営 隠岐DMO(一般社団法人隠岐ジオパーク推進機構)マーケティンググループ 河本直起


隠岐DMO(一般社団法人隠岐ジオパーク推進機構)マーケティンググループ 河本直起氏

観光DXを通じて実現

 隠岐DMOでは、令和5年度観光庁「事業者間・地域間におけるデータ連携等を通じた観光・地域経済活性化実証事業」を活用し、観光webサイト内に宿泊施設および体験アクティビティの予約機能を実装し、webサイト内で予約まで完結する「地域版OTA」機能をローンチいたしました。

 隠岐諸島は本土からは船もしくは飛行機でしか来ることができず、また地域内でも有人島4島に分かれているなど、他観光地と比べてもアクセス面で障壁の大きい地域です。人口減少も進んでおり、人材不足は長年の課題です。これに付随して、観光業を含めた地域内産業のデジタル技術を活用した業務効率化も進んでいません。

 こういった状況の中、この地域版OTAは、旅行者、事業者、そして地域の戦略設計を担うDMOという3者それぞれの課題を解決するための施策として位置付けています。この地域版OTAは、27の宿泊施設と36の体験商品に参画いただいており、隠岐全体のキャパシティに対して宿泊施設は約7割程度、体験商品に関しては約5割程度をカバーしています。

 これにより、従来オンライン予約非対応の宿泊施設や体験商品が多かった隠岐において、オンライン予約可能な商品が増えたことで顧客利便性が向上しました。

 さらに、人手不足が顕著な事業者においては、オンライン予約化による生産性向上が達成され、これまで外部OTAに依存していた施設においては、外部OTAより手数料が安価な地域版OTAからの予約が増えることで、利益率の向上が見込まれています。

 そして、この地域版OTAの予約者データをDMOで一元的に蓄積できるようになることで、データを元にした地域一体となった戦略・戦術の立案が可能になりました。

 今年度はこの地域版OTAからの予約をいかに増やせるか、が隠岐DMOにとっての至上命題です。予約者数を増やすことで事業者の生産性と利益率を向上させつつデータ量を増やし、データ量が増えることで精度の高い施策が打てるようになるという好循環を作っていきたいと考えています。

 そのためには、隠岐の認知を増やし、web空間上で興味喚起させ、予約にまでつなげるというマーケティングファネルを強固にしていく必要があります。まだまだ課題は多いですが、これが達成できると持続性の高い観光地経営につながると信じています。

 

 
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