地方こそ輝く時代に 南紀白浜エアポート代表取締役社長 岡田信一郎


南紀白浜エアポート代表取締役社長 岡田信一郎氏

地域活性化に取り組む空港運営会社

 南紀白浜エアポートは空港運営会社でありながら、第2種旅行業登録の旅行会社、また、地域連携DMOでもある。「空港の発展は地域の発展から」と、「空港型地方創生」のコンセプトを掲げ、地域活性化に取り組んでいる。私自身は、大館能代空港(秋田県)の利用促進に関する顧問を、また同地域の秋田内陸縦貫鉄道のアドバイザーも務めている。

 和歌山と秋田、両地方の活性化に携わり実感することは、どちらも日本の地方の縮図、しかし、観光においては大チャンスの到来ということである。観光が高度化・高付加価値化し、物見遊山やショッピングという「観光」ではなく、その地域の暮らしそのものを味わう、あるいはその地域の人々との交流を楽しむ、といった「ツーリズム」に変遷していく中で、いよいよ地方こそ輝く時代が来た、と感じている。

 しかし、地方には、食事場所が少ない、移動手段が少ない、宿が少ないなどの供給制約があるのが一般的。ただ、だからこそ、それが地域への流入規制となって、素晴らしい地域の魅力が守られる。そのメリットは計り知れない。

 例えば、和歌山の場合、世界遺産熊野古道は国内外の富裕層に非常に人気な地であるが、決してアクセスのよい場所ではない。昔ながらの大型バスによる団体旅行にも適さない。来るなら個人あるいは小グループである。だからこそ、熊野古道という資源が守られ、また地域との交流もでき、価値を維持できるのである。

 供給制約という点では、人手不足が最も切実な問題である。観光産業は基本的には労働集約産業。人が必要である。しかも、現在直面している人手不足は決して一過性の問題ではなく、日本の人口動態上、今後も継続、悪化する課題である。これにどう立ち向かうのか。

 労働力制約によるサービス提供能力に制約があるのだから、限られた供給をどう生かすのか、あるいは、どうストレッチさせるのかの勝負。

 例えば、多くの観光地は季節変動が大きいが、供給にゆとりのあるオフピークを伸ばす、あるいは、数より質で高付加価値のサービスを提供することで1人当たり、供給当たりの稼ぎを増やす、さらには、テクノロジー活用による生産性向上を実現し、ストレッチさせる。

 また、楽しくなければ観光じゃない。南紀白浜エアポートでは、顔認証による手ぶら顔パス未来観光を地域実装したり、笑顔でないと反応しない除菌スプレーを地域に広めコロナ対策を楽しんだ。

 やりようはある。腕の見せどころではないか。

 ぜひ、地方が輝く時代にしたい。

 
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