民間調査会社、帝国データバンク(DB)が実施したアンケート調査の結果、自治体と企業(飲食店、小売業)の約5割が外国人旅行者の誘致、受け入れを通じた地域や経済の活性化に期待していることが分かった。自治体では有力な観光資源を持つ地域ほど期待が高い。企業では、国内消費の低迷を外国人需要で補いたいとの期待がうかがえる。
調査期間は9月3〜10日。自治体の回答数は38都道府県と898市区町村。企業の場合は、直近の年間売上高が12億円以上の飲食店、30億円以上の小売業が対象。回答数は飲食店197社、小売業206社だった。
自治体では、外国人旅行者の誘致に「非常に期待している」が18.5%、「まあ期待している」が30.0%で、合わせると48.5%に達した。一方で「期待していない」が8.3%、「あまり期待していない」が12.8%、「どちらでもない」が25.7%だった。
帝国データバンクでは、「外国人観光客に人気の高い富士山がある静岡県など、有力な観光資源がある都道府県は期待度が高い傾向にある。九州も中国、韓国、台湾から船便があるなど総じて期待度が高かった」と分析している。
外国人旅行者の誘致、受け入れで自治体が強化している施策は、(1)外国語の案内表示・観光用パンフレットなどの追加(2)姉妹都市との連携や海外での誘致活動(3)ホームページ(HP)や広告などでの外国語による宣伝、SEO対策(4)地元企業・団体との連携による誘致活動(5)観光施設での外国語を話せるスタッフの採用、育成──の順。
企業の外国人旅行者への期待度は、飲食店が「非常に期待している」17.3%、「まあ期待している」37.1%。小売業が「非常に期待している」22.8%、「まあ期待している」27.2%。
期待の理由は、「日本の少子高齢化の進行、個人消費の低迷」「日本人の需要が頭打ちだから」など。ショッピングなどで購買力の高い中国人客の需要に期待する声も多かったという。
企業の外国人旅行者の受け入れ策では、飲食店の上位が(1)外国語の案内表示・メニューリストの追加(2)外国語の話せるスタッフの採用、育成(3)HPや広告などでの外国語による宣伝、SEO対策──。小売業が(1)外国語の案内表示・パンフレットの追加(2)銀聯など外国通貨による決済システム、免税手続きカウンターの設置──だった。