地球の歩き方総合研究所、通訳ガイド「Guide of the Year 2024」受賞者を発表


 地球の歩き方総合研究所は14日、通訳ガイド「Guide of the Year 2024」の受賞者を発表した。

株式会社 学研ホールディングス(東京・品川/代表取締役社長:宮原博昭)のグループ会社、株式会社 地球の歩き方(東京・品川/代表取締役社長:新井邦弘)が運営する地球の歩き方総合研究所は、旅の価値を上げる通訳ガイドを表彰する「Guide of the Year 2024」の授賞式を2024年5月14日(火)にオンライン形式で開催いたしました。

地球の歩き方総合研究所は、2024年5月14日(火)に、訪日外国人旅行向けの通訳ガイドを表彰する「Guide of the Year 2024」の授賞式を行いました。インバウンド(訪日外国人旅行)再開の動きが本格化し、各地で高付加価値旅行(※)の誘致へ向けた機運が高まる中、旅行者ニーズの高度化と多様化に対応できる良質なガイドの人材創出につなげるべく、旅の価値を上げる通訳ガイド(以下ガイド)を表彰する取り組みです。

 

※旅を通じて発見や学び、あるいは人生観が変わるような特別な体験を求める旅行。

 

◆「Guide of the Year」発足の背景

1979年の創刊以来、旅の情報メディアとして常に旅行者を応援してきた「地球の歩き方」は、国内外の旅行情報のみならず、2009年からは訪日外国人向けの情報発信にも注力しています。

観光先進国の実現に向けて、2030年に外国人旅行者を年間6,000万人とする目標が掲げられる中、近年はラグジュアリートラベル市場やアドベンチャートラベル市場を中心に「高付加価値旅行」に注目が集まっています。これらの旅行者が求めるのは「旅行する意味」であり、単純に高額消費することではありません。旅を通じて学びを得ることや、自己成長につながる体験、その後の人生観が変わるような経験を期待して、日本を訪れる旅行者が増加の傾向にあります。

旅行者ニーズが大きな変化を迎えた今、本格的に再開した2023年のインバウンド需要は5.9兆円とコロナ前を上回る見通しです。このような中、観光庁はラグジュアリーツーリズム、アドベンチャーツーリズムの推進、サステナブルな観光コンテンツの強化などに力を入れながら、先般、高付加価値旅行による消費額拡大を重要な柱の一つとする「新たな観光立国推進基本計画の素案」を公表し、ポストコロナの新たなインバウンド戦略を打ち出しました。

その一方、観光産業の担い手であるガイドが、質的・量的に不十分であることが全国的に大きな課題となっています。ここで言うガイドとは、訪日外国人を日本各地へ案内し、この国や地域の魅力的な観光資源の本当の良さや奥深さを、外国語を使って伝える通訳ガイドのことを指します。ガイドは、案内先の知識や添乗スキルはもちろんのこと、語学力や交渉力を含むコミュニケーション能力、相手や状況に合わせて柔軟かつ臨機応変に対応する力、ストーリー仕立ての旅を演出する力など、極めて高い人間力と多面的な能力が求められる職種です。

地球の歩き方総合研究所は、国や地域のさまざまなインバウンドの取り組みや誘客促進事業を通じて、「旅行者ニーズの高度化と多様化に対応できる良質なガイド不足の現状」を目の当たりにし、国や自治体と同様の危機感を持ちました。旅行者の知的好奇心や探究心に対し、十分に対応できるガイドが不足しているために、やむを得ず旅行商品の企画を見送るといった機会損失も実際に起きています。当研究所は、この課題を解決する一助となるべく、欧米の富裕層向けにキャリアを積んできたガイドによる地方でのガイド研修をはじめ、ガイドのスキルアップを目的とした取り組みに注力してまいりました。

活動を進める中で、質・量の両面からガイド業界を底上げするためには、ガイドにスポットライトを当て、その活躍や観光産業における貢献を広く周知する必要があると考え、検討会を立ち上げました。業界関係者・有識者の方々をお招きして協議会を設置、課題解決の検討を重ねてきましたが、この度、その解決の一助になればとの思いから、「Guide of the Year」という表彰活動を実施するにいたりました。

この取り組みは、特筆すべきガイドの方々の活躍や貢献を広く周知し、それをきっかけに訪日外国人を顧客としたガイドが憧れの職業となり、わが国にガイド文化が根付く土台づくりになることを目指しています。

審査は業界有識者の方々にお願いし、運営事務局は地球の歩き方総合研究所が務めました。
審査にあたっては、的確な語学力や伝達力はもとより、顧客との関係構築力、旅をより魅力的なものにするストーリーテリング力、旅を通して得られる気づきや行動変容へと顧客を誘導する力、あるいは臨機応変な問題解決力や柔軟な対応力、そして何よりも人間的な魅力を重視し、総合的に審査いたしました。なお、この審査は何らかの資格を付与したりランク付けを行なったりするものではございません。

 

◆「Guide of the Year 2024」の歩み

昨年末から「地球の歩き方総合研究所」ホームページ内で募集を開始。インバウンド事業に関わるガイドの方々に届くよう、募集にあたっては、ガイド協会・ガイド団体、行政・地方自治体などからの告知・発信協力もいただきました。自薦のみならず、観光関連団体様からの他薦により応募を決意いただいた方まで、多くの方々からご応募をいただくこととなりました。

「ガイドの方々の活躍や貢献を広く周知し、ガイドが憧れの職業になり、日本にガイド文化が根付く土台をつくっていく」という私たちの目標のもと、専門家の方々の意見も踏まえながら今回の表彰にいたりました。
(応募数、審査員については、非公表としています)
……………………
・2023年11月:募集開始
・2024年2月:募集終了
・2024年2月:書類審査
・2024年3月:オンライン面談(二次審査)
・2024年4月:審査員による審査会
・2024年5月14日:審査結果発表
◇各賞:Guide of the Year 3名、特別賞 4名、審査員特別賞 1名

……………………

 

◆ Guide of the Year 2024 受賞者一覧(順不同・敬称略)

Guide of the Year

工藤まや / Maya Kudo
高校1年の夏、親の転勤に伴い米国へ。現地高校を卒業後、帰国し上智大学入学。卒業後クリスチャンディオール入社、富裕層ビジネスに触れる。2005年度全国通訳案内士試験合格。2006年7月より英語ガイドとして本格的に活動。趣味は学生時代から茶道、ガイドになってから日本刀鑑賞、居合、仕舞を嗜む。無類の旅行好きで世界60ヵ国以上を訪問。王族からセレブリティまで各国富裕層の案内経験が豊富。

白石実果 / Mika Shiraishi
(株式会社M&Company共同代表/全国通訳案内士)
世界中からのVIPゲストを含むインバウンドゲストを延べ2,500名以上アテンド。質の高い体験を求める高付加価値ゲストからの評価も高い。日本各地のガイドトレーニング研修講師のほか、インバウンド受け入れ体制作りのアドバイザーとしても活動。現場でゲストと共に過ごすからこそ得られる「訪日外国人の本音」を届け、日本のインバウンド受け入れ体制を支援している。観光庁広域周遊専門家派遣事業専門人材。観光庁「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化研修」1級講師。

馬上千恵 / Chie Moue
北海道アドベンチャートラベルガイド(スルーガイド)・全国通訳案内士・森林インストラクターなど。1973年、福島県生まれ。帯広畜産大学卒業後、北海道森林管理局に8年間勤務。オーストラリアで英語教授法を学び英語講師となり、2008年より全国通訳案内士として、斜里町などの知床半島、稚内市、厚沢部町などに住んで英語の自然ガイドやインバウンド向けツアー企画など行う。2020年から札幌市拠点。全国のガイド養成講座や英語接客セミナーなどで講師も務めている。英検1級/TESOL(英語教授法)/WAFAアドバンスレベル/LNTレベル1インストラクター

https://msenglish-network.com/

 

Special Award(特別賞)

青崎涼子 / Ryoko Aosaki
全国通訳案内士、日本山岳ガイド協会(JMGA)登録の登山ガイド、アドベンチャー旅行コンサルタント。日本の旅行会社で10年間勤務後、アメリカのアウトドア学校NOLS(National Outdoor Leadership School)で学び、主に海外をフィールドにしたアウトドアガイドとなる。2014年3月に全国通訳案内士資格を取得し、ロングツアー(登山、ハイキング、古道)とFIT(個人旅行)ハイキングを中心に活動。国内登山ガイド、アドベンチャー旅行プランナー、各種講師、執筆等。

原田勉 / Tsutomu Harada
商社及び電気機械メーカーでアメリカ、シンガポール、香港で合計30年間勤務し、異文化コミュニケーションのスキルを磨く。2018年3月から全国通訳案内士として活動開始。国際臨床医学会認定・医療通訳士の資格も持つ。ファムトリップ、インセンティブツアー、企業・工場の視察旅行も得意分野。

福田誠 / Makoto Fukuda
高校卒業後、一念発起してアメリカに留学。語学学校を経てポートランド州立大学を卒業後、2013年3月より全国通訳案内士として活動開始。現在、長期ツアー、日帰りツアー、FIT(個人旅行)など、日本中をガイドしている。サブカルチャーにも詳しく、旅行と食べ歩きが大好き。ツアーの下見は自分で車を運転して出かけ、訪問地を文化地理学的に観察しながら楽しむ。

安井久美 / Kumi Yasui
三重県在住。シンガポールで幼少期を過ごし、外務省在外公館派遣員として在シンガポール日本大使館で勤務後、2009年8月より全国通訳案内士として活動。夫の転職に伴い三重県に転居。「三重の海で5km遠泳し、日本酒を嗜む帰国子女で寺嫁の着物を着た通訳案内士」として、数多くの外国人観光客を三重県の観光地へ案内している。翻訳者としても活躍。

 

Jury’s Award(審査員特別賞)

ジョー岡田 / Joe Okada
昭和一桁生まれの自称「ラストサムライ」。全国通訳案内士として、外国人観光ガイド歴60年以上。伏見桃山城にて日本刀で果物を切る「サムライ日本ショー」が人気を博す。2011年、京都市から「京都おもてなし大使」に委嘱される。日本では現役最高年齢という95歳の全国通訳案内士。2017年に、英文ガイドブック『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』を自費出版。これは1966年に一度刊行され、通訳ガイド必携の虎の巻として好評を博した日本案内書『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』の大幅改訂版(1991年までに12版)。

 

◆ Guide of the Year について

本表彰の詳細や、受賞者インタビューは、下記「地球の歩き方総合研究所」ウェブサイトにて公開いたします(2024年5月末予定)。
https://www.arukikata.co.jp/research/guide2024.html

 

◆ 今後の展望

 旅の情報発信メディアとして圧倒的な認知度を誇る『地球の歩き方』、および地球の歩き方総合研究所が有するネットワークを使って、ガイドの魅力を世の中に広く発信し、認知度の向上に努めるとともに、ガイド育成の取り組みも強化し、受賞ガイドのみなさまとガイド業の未来を考えるシンポジウムの開催、ガイド研修などを予定しております。

「Guide of the Year 2025」の募集は、2024年6月中旬頃発表予定です。募集は下記「地球の歩き方総合研究所」ウェブサイト内で実施いたします。
https://www.arukikata.co.jp/research/

 

 

◆ 地球の歩き方総合研究所について

『地球の歩き方』は、国内はもちろん、世界の観光業の発展に寄与することを目的として、2017年4月に「地球の歩き方総合研究所」(以後、総研)を設立いたしました。日本を取り巻くインバウンド市場や国際交流を通して地域の活性化に貢献できる活動を目指しております。

【おもな活動内容】
・地域が稼ぐ力を作り、自立するための地域活性化の仕組みづくり。
・新たな市場(欧米富裕層マーケット、ユニバーサルツーリズム、ワーケーション)とDMO(地域の関係者を巻き込み、観光地域作りを行う法人や団体)等と連携した地域の魅力発掘、コンテンツ造成、受け入れ環境整備。
・『地球の歩き方』で培った情報力・編集力を活かした情報発信の提案・制作、インバウンドメディア「GOOD LUCK TRIP」を活用した誘客促進につながる情報発信。
・国内・海外の旅行会社やOTA(オンライン旅行会社)と提携し、旅行商品を開発。旅行会社を通して地域へ旅行者を送客します。また、旅のプロである旅行会社や地域を訪れた旅行者に調査などを実施し、改善点を洗い、次へとつなげていきます。

 
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