
共同記者会見の様子
外務省と観光庁、日本旅行業協会(JATA)は24日、日本人の海外旅行需要喚起を目的に「もっと!海外へ宣言」を発出した。同日に申請受け付けを開始した新たなパスポート「2025年旅券」の普及に加え、海外旅行拡大プロジェクト「もっと!海外へ」も開始。海外旅行の需要促進施策や海外旅行の安心・安全サポート、各種プロモーションなどを展開する。
日本人の海外旅行者数は、2019年に過去最高の2千8万人を記録したがコロナ禍で大幅に減少。昨年は5年ぶりに約1300万人まで回復するも、同年と2024年の日本人のパスポート保有率は約17%と低迷している。観光庁とJATAでは2023年5月に「今こそ海外!宣言」を発出するなど、官民一体でアウトバウンド促進に注力してきた。今回の「もっと!海外へ宣言」は、24日の「2025年旅券」申請受け付け開始に伴い、外務省、観光庁、JATAが共同で発出。引き続き日本人の海外旅行需要を喚起する。
具体的には、外務省がSNSや交通広告を通じて新パスポートの周知・広報を実施。偽造・変造対策が強化されているほか、新規・切り替えの両申請がオンライン対応となった新パスポートの普及拡大を目指す。
一方、JATAは海外旅行拡大プロジェクト「もっと!海外へ」を展開。特設サイトも公開した(https://jata-motsutokaigai.com/)。来年3月末までの期間中、海外旅行促進キャンペーン、若者の国際交流の促進、海外旅行の安心・安全サポート、関係者と連携したプロモーション―などを実施。若年層の海外旅行促進を目指し、俳優やアーティストとして活躍する岩田剛典さんを「JATA海外旅行アンバサダー」として起用する。
同キャンペーンの第1弾として「新パスポート取得キャンペーン」も24日に開始。JATA会員各社や空港会社などが参画し、各社が新パスポートを新規申請した人に向けて、取得費用に相当する金額のキャッシュバックやポイント還元、割引などが適用される海外旅行商品を用意。3月24日時点で、JATA会員36社、空港6社の計42社が参加表明している。
今後も引き続き1年をかけて、旅行商品や航空券、旅行関連グッズなどのキャンペーン商品の展開や、各国・地域の観光局や大使館による最新の観光情報の発信を予定している。「ツアーセーフティーネット」による情報提供や、海外安全情報配信サービス「たびレジ」と連携した旅行会社の参画も引き続き拡大を図る。
24日に国土交通省内で開かれた共同記者会見には、外務省領事局の岩本桂一局長、観光庁の秡川直也長官、JATAの髙橋広行会長が出席。
観光庁の秡川長官は今回発出する宣言について、「日本人の海外旅行を推進していくことは、国際観光の向上や国際相互理解の増進という意味があり、インバウンドと両輪で進めていくことが大事だ」とコメント。髙橋会長も「日本の将来を支える若者の皆さまにはこの機会にぜひ海外に羽ばたいていただき、国際社会への理解や経験を深めていただきたい」と、業界を挙げて海外旅行の完全復活を目指すと強調した。
(左から)JATAの髙橋広行会長、観光庁の秡川直也長官、外務省領事局の岩本桂一局長