国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官はこのほど、専門紙向けの定例会見で、外国人旅行者を2020年に2千万にする中長期の目標について、「本格的な国際観光時代に向けて、戦略的な準備を進めるために掲げた目標数値と捉えてほしい」と述べ、産業界をはじめ観光関係者にそれぞれの立場から課題に取り組むように期待した。
本保総観審は「ハード、ソフトのいずれも、今のインフラのままで対応できないことははっきりしている。経済効果などを含めた2千万人のインパクトをできるだけ計量的に捉えた上で、観光関係者が一丸で戦略的な対応をしていく必要がある。そうした時期に入った」と説明した。
2千万人を実現するには、受け入れやプロモーションの態勢などさまざまな課題があるとしたほか、観光産業界の本格的な取り組みに期待。「例えば旅行業について言うと、日本の旅行業の外国人旅行の取扱額は総取扱額の0・9%という現状。このままでは外国の旅行業の取り扱いが増えるばかりで、日本の旅行業は存在価値を低くしてしまう。旅行業でも環境整備を課題に挙げているように、国際観光で仕事ができる態勢にシフトすべきだろう」と指摘した。
2千万人の実現に向けた中長期ビジョンの具体的施策などは、政府の観光立国推進戦略会議のワーキンググループでも議論される。国交省では、企業や地域に与える2千万人の経済効果などを具体的に提示するために、企業のトップや学会の有識者、YOKOSOジャパン大使などにアンケートやヒアリングを行うことも検討している。
観光地のレーティング 評価手法など検討へ
国交省は、有識者でつくる「観光に関する懇談会」での議論を受け、質の高い観光地づくりを目的にした観光地の評価やレーティング(格付け)のあり方について検討する。本保総観審は「評価の実施主体や手法、難しい課題はあるが、実施できるかどうか、議論してみたい」と述べた。
本保総観審は、「観光地を訪れる旅行者に何らかの目安となるもの、観光地づくりにかかわる関係者に参考になるもの、2つの側面から考えたい」と述べ、「観光地の整備状況や顧客満足度などさまざまな評価軸があるが、説得力、説明力があって皆さんに納得してもらえるものでなければならない」と指摘した。