大分・由布市の温泉施設で「健康温泉サミット」


温泉療法の体験談を3氏が披露した

温泉療法の体験談を3氏が披露した

 大分県由布市が運営する温泉施設「クアージュゆふいん(湯布院健康温泉館)」は3月23日、同館で「第9回ゆふいん健康温泉サミット」を開いた。施設の利用者による温泉療法体験と、医師による温泉療法の事例発表を行い、医療や高齢者対策関係者らに同療法の効用を訴えた。また、一般参加者に向けて高血圧対策やメタボリック予防になる水中運動療法を伝授した。

 クアージュゆふいんは入浴や水着での健康浴が楽しめる温泉施設。ドイツ式の温泉療法が体験できるクアハウスを備え、市民らの健康増進に効果をあげている。

 地元在住の利用者3人は、医療機関と連携して、施設の温泉プールで歩行訓練などを行い、体の痛みを解消したという体験談を披露。

 後藤茂(岩男病院副院長、温泉療法専門医)、鏡森定信(富山大学医学部理事、副学長)両医師は「健康増進と温泉」などをテーマに講演した。

 由布市の首藤奉文市長と市議会議員らは、年々膨らみ続ける高齢者医療費の削減が自治体にとって大きなテーマと述べ、その解決にクアージュゆふいんが大きな役割を果たしていると強調、施設の必要性を訴えた。

 クアージュゆふいんは開業以来、赤字経営が続き、市議会で指定管理者制度の受け入れも議論された。

 しかし、温水プールの水を水道水から天然温泉に変えることで水道光熱費を大幅に削減したほか、塩素臭がなく、アルカリ泉独特の肌にやさしい温水が評判になり、スポーツ選手などの利用や、九州各地の自治体やスポーツ施設、旅館・ホテルの視察と問い合わせが増えた。

 施設では開業当初、天然温泉を利用していたが、塩素消毒により水が赤く濁り、においも発生したため、利用を一時断念、水道水を利用していた。しかし、2年前に特殊な設備の導入で天然温泉の利用が再び可能になった。

 施設は昨年から黒字に転換している。

 高齢者の医療費削減やメタボリック対策が自治体共通のテーマになる中、「由布市と同館の取り組みは温泉を持つ他の自治体の参考になる」と関係者は話している。

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