温泉文化の持続可能な未来を考えるシンポジウム「別府ONSENアカデミア2024」が11月24日、大分県別府市のビーコンプラザで開催された。「次の100年に向けて」をテーマに、温泉の医学的検証やブランディングの在り方、温泉地での長期滞在など、多岐にわたるセッションが行われた。
冒頭、長野恭紘市長が「新湯治・ウェルネス」について発表。「フランスの温泉保養地・ヴィシー視察で、個々に合った温泉療法の重要性を学んだ」と述べ、市でも同様の取り組みを進めることを表明。新しく温泉のラボ機能を備えた施設を建設し、高付加価値な長期滞在型観光の実現を目指す将来ビジョンを示した。
続くトークセッションでは、バスクリンや各温泉地の代表者が登壇。各温泉地の長期滞在促進に向けた取り組みが紹介された。
道後温泉では「令和のイマドキ湯治旅」を提案し、入浴プログラムと観光プログラムを連携させることで長逗留(とうりゅう)を促している。乳頭温泉郷では七つの温泉を巡る湯めぐりバスやブナ林散策など、自然と温泉を満喫できるプログラムを提供。
十勝川温泉では、札幌からの無料バス企画や、地元の食材を使った料理を提供することで、観光客の誘致に力を入れている。別府市も、地元旅館と協力し、湯治生活体験や地獄蒸しなど、魅力的な長期滞在につながるプランを開発する。
研究発表では、温泉の健康効果に関する興味深い研究が発表された。アサヒ飲料は、別府市の温泉入浴と炭酸飲料水の組み合わせによる健康増進効果を検証。
ポーラは、別府の三つの温泉地(竹瓦温泉、堀田温泉、鉄輪むし湯)で温泉を採水。温泉の美肌効果を肌科学的に分析し、七つの美肌泉質を分類した。また、医療関係者からは、温泉と腸内環境、高血圧との関係性など、専門的な視点からの発表があった。
最後のトークセッションでは、俳優の板谷由夏さんが登壇。温泉でのリフレッシュ方法や健康維持について自身の経験を語り、会場を沸かせた。長野市長は、温泉地がアーティストの創造性を育む場所であったことに触れ、「温泉×クリエイティブ」という新たな視点で別府市をアピールしたいと述べた。
撮影に応じる長野市長(右)や俳優の板谷さん(左から2人目)