実習先に活用、単位も認定
大阪観光大学(大阪府熊取町、山田良治学長)は3日、おてつたび(東京都渋谷区、永岡里菜CEO)と産学連携の協力推進にかかわる協定を結んだ。大阪観光大のカリキュラムにおてつたびを介した地域での労働支援と交流を組み込むことで、学生の「観光職業力」の育成を図るだけでなく、観光地域づくりと観光産業の推進、人手不足といった地域の課題解決に寄与したい考えだ。
同大学が今年度実施した「観光DX人材育成講座応用編」で永岡CEOが講師を務めたことなどをきっかけに、今回の協定が実現した。
協定では、(1)「地域連携実習」と「職業実践実習」の受け入れ先の開発と展開(2)同実習の動画制作と映像教材の製作(3)観光リカレント事業への協力推進―に取り組む。具体的には、新2年生約140人が履修する「地域連携実習」の実習先の一つにおてつたびを組み込み、地域での労働体験と実習報告により単位を認定する。
大阪観光大学では今年度から新しいカリキュラムを導入。「生きぬく力(観光職業力)養成科目」「楽しむ力(旅人力)養成科目」「21世紀スキル(世界市民力)養成科目」を3本柱にした観光学教育を進めており、おてつたびを介した実習でより実践的に「生きぬく力」の育成を図る。
同日、大阪観光大のキャンパスで行われた調印式には、山田学長と永岡CEOのほか、山本健慈理事長をはじめとする大阪観光大関係者が出席。あいさつした山田学長は、研究のために過疎地域に通い、生き方に大きく影響する経験をしたことを紹介した上で、「提携を一つのステップとして、若い人たちに、さまざまな地域に実際に足を運び、その土地の人との交流を重ね、生き方を学ぶ機会を提供できれば」と述べた。
永岡CEOは「おてつたびはたくさんの大学生に利用してもらっているといっても、まだ一部の感度の高い学生にしか知られていない。カリキュラムに組み込まれることで、地方部の学生はじめ今までおてつたびがリーチできなかった学生にもサービスを利用してもらえるようになるし、サービスへの信頼感も高まる。協定をきっかけに、より多くの学生に日本の地域の魅力、そこに住む人と関わることの魅力に目覚めてもらえれば」と期待感を語った。
永岡CEOによると、おてつたびに現在登録している受け入れ先は900カ所、「手伝い」を目的とした旅行に参加したいと登録している旅行者「おてつびと」は3万人。おてつびとのうち約6割が大学生や留学生を含む20代という。
山田学長(右)と永岡CEO