新型コロナウイルス感染拡大によって甚大な影響を受けた旅行・観光業界の需要を回復させるため、7月22日から「GoToトラベルキャンペーン」がスタート。その効果によって旅行者が徐々に動き出している。観光経済新聞社は、このGoToトラベルキャンペーンについて旅行会社がどうとらえているのかを把握するため、主要な大手旅行会社に対してアンケート調査を実施。その結果、67%の会社が「大きな効果があった」とし、残る33%も「効果があった」と判断していた。
調査はJTB、KNT―CTホールディングス、日本旅行、東武トップツアーズ、阪急交通社、HISの6社に実施し、全社から回答があった。なお、現在、Go Toトラベルキャンペーンの見直しについて検討されているが、各社の回答時期はその報道が出る前であるため、その辺りの要素は含まれていない。
まずGoToトラベルキャンペーン実施の効果について、各社に三つの選択肢から聞いたところ、6社中4社、67%が「大きな効果があった」と回答した。残る2社、33%も「効果があった」と認めている。「現状、期待したほどの効果はない」の回答はゼロだった。
続いて具体的な意見を記述式で聞くと、「お客さまに感染防止対策を啓蒙しながら需要を喚起する取り組みとして良い施策だ」「市場に受け止められるまでに時間は掛かったが、消費の総需要の底上げには一定の効果がある」などと高く評価している。「この施策を行わなかった際のマイナスは計り知れない」などと感謝の声も多かった。
売れ筋商品、方面についても調査。各社の回答から傾向をまとめると、スタート当初は首都圏や中部、関西エリアからの近場の商品が人気で、お盆明けくらいから北海道、九州など中・長距離商品の販売も伸びてきた。支援額のインパクトが大きいことから比較的いい旅館・ホテルを利用した旅行商品が売れている。「他方面と比べて沖縄方面と東京方面の旅行が伸びていない」という声もあった。
商品企画、販売を行う上で意識、意図したことについて聞くと、「関係機関と連携しながら感染予防対策を講じた上で、お客さまに安心、安全の旅が提供できるよう努めている」といったコロナ対策は各社が徹底していた。また、「キャンペーンによる需要喚起と連動した付加価値付き商品の提供による販売単価アップや泊数増への取り組み」を推進する会社もあった。
GoToトラベルキャンペーンは教育旅行を除き1月末に終了する予定だ。2月以降の継続を望むかどうかを2択で問うと、全6社が「継続してほしい」と回答した。「継続する必要はない」は皆無だった。
継続の時期やその取り組み内容についての要望を聞くと、「現行の割引率を維持し、少なくとも3月末までは延長してほしい」「来年の夏休み前まで延長し、継続した需要喚起を希望する」「春休み、大型連休までの継続であれば、学生に向けたアクション、家族旅行の取り込みが期待できる」などの意見。継続時期は、3月末から来年の夏休み前まで幅広かった。
また、「国内個人旅行は復活しているが、団体旅行はまだまだだ。貸し切りバスやホテル宴会場なども大変お困りの皆さまも多いため、コロナ対策を施し安全に参加してもらえる団体旅行の復活に向けた取り組みを希望する」という声もある。