
上空から見た大屋根リング(提供=公益財団法人2025年日本国際博覧会協会、大林組 撮影=伸和)
「いのち」テーマに184日間
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした2025年国際博覧会(大阪・関西万博、運営主体・日本国際博覧会協会)が13日、人工島・夢洲(大阪市此花区)に開幕した。日本での開催は2005年の愛知万博以来で、20年ぶりとなる。10月13日までの期間、世界が一つの場に集い、先端技術を駆使した映像体験で来場者を楽しませる。
今回の万博には約160カ国・地域と7国際機関が参加し、期間中、約2820万人の来場を見込んでいる。外国人も多数来場しそうで、日本の魅力をアピールする格好の場となりそうだ。
一方で、いま一つ盛り上がらず、万博来場意向に関するアンケート(昨年12月、6千人対象)では「行きたい」「どちらかといえば行きたい」と答えた人は約35%にとどまっている。「ゴールデンウイークや夏休みに入ると来場者も増え、口コミで魅力が発信されれば盛り上がるのでは」という見方もある。
世界最大級の火星の隕石(いんせき)や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った小さな「心臓」(直径約3.5センチ)の展示など見どころも多い。半面、期待された「空飛ぶクルマ」は、当初来場者が搭乗する商用運航が検討されていたが、結局デモ飛行に切り替わった。また、気象状況や機体のメンテナンスなどで運休となることも想定されており、来場者が未来の移動手段を目にする機会は限定的になりそうだ。
海外館の建設遅れ、チケットの事前予約が面倒、会場のアクセスが悪い、食事が高額、宿がとれない―など、批判や諦めの声も少なくない。「これも万博」と前向きに捉えたいところだが…。
海外からの来場者には、日本の各地に足を運んでほしいものだ。万博は始まったばかり。どう誘導し、地域の魅力に触れてもらうか、観光業界の手腕が問われる。
上空から見た大屋根リング(提供=公益財団法人2025年日本国際博覧会協会、大林組 撮影=伸和)
ミライ人間洗濯機
万博はテクノロジーの進化を披露する場ともなるが、1970年の大阪万博の「サンヨー館」で注目を集めた「人間洗濯機」がアップデートされ、再び登場した。
展示したのは大阪市のサイエンス社で、「ミライ人間洗濯機」として大阪ヘルスケアパビリオンで見られる。1人用で、卵のような形が特徴。泡で洗浄され、上からシャワーもかけられる。第1号入浴者は大阪府の吉村洋文知事で「めちゃめちゃ気持ちいい」とさっぱりした様子で語った。
「人間洗濯機」の第1号入浴者となった大阪府の吉村洋文知事
大屋根リング
今回の万博のシンボルといえるのが、世界最大級の木造建築物「大屋根リング」。1周2キロのリングは直径675メートル。東京スカイツリー(634メートル)を横にしたくらいの長さで、高さは内側が12メートル、外側が20メートル、幅30メートルある。リングの中は3区画に分けられ、参加国(約160カ国・地域)のパビリオンが集まっている。
シグネチャーパビリオン
万博の中核となるのが、会場の中央に位置する、8人のプロデューサーが主導する創造的なパビリオン「シグネチャーパビリオン」だ。「訪れるすべての人々がいのちについて考え、その概念をアップデートする場所」と協会。
パビリオンは阪大教授の石黒浩、慶応大教授の宮田裕章、音楽家の中島さち子、メディアアーティストの落合陽一、生物学者の福岡伸一、アニメ監督の河森正治、放送作家の小山薫堂、映画作家の河瀬直美の各氏が手掛けた。
記念撮影に応じるプロデューサー各氏(3日)
「いのちを拡げる」をテーマにした石黒氏の「いのちの未来」では、50年後の人間とアンドロイドとの姿や、千年後の未来の人間の姿を描いており、マツコ・デラックスのアンドロイドの対話などが展示されており、ロボット工学の進化に驚く。
石黒浩氏プロデュースの「いのちの未来」に展示されるアンドロイド。マツコ・デラックスさん(こちらもアンドロイド)と対話を楽しむ様子が見られる。