旅行社ツアーで安全安心 多様な遺跡・自然とAT
――ペルーには年間どのくらいの日本人観光客が訪れていますか。
「ペルーの日本人観光客数は伸び悩んでいる。かつては外国人観光客数のトップ5に入っていたが、現在は全体の1%にも満たない。コロナ禍の前、中、後での具体的な観光客数を申し上げると、2019年の訪ペルー外国人観光客数は437万1787人で、うち日本人観光客数は4万734人。20年はそれぞれ89万6523人と9666人、21年は44万4331人と1079人、22年は200万9275人と5166人、23年は252万4658人と1万1290人だった。なお23年1~8月累計は156万4957人と6351人、24年1~8月累計は217万8302人と1万3839人なので、24年については日本人観光客の伸びは平均値を超えている」
――日本の若者がOTAで予約して気軽に出かけることができるデスティネーションではない。
「年配のご夫婦などが旅行会社のツアーで訪れるケースが多い。ペルーに1週間前後滞在し、周遊する。日本人観光客が現地の公共交通機関を使って観光スポットを効率的に巡ることは現実的には難しい。大手旅行社や専門旅行会社のツアーに参加されるのが良いと思う。専用バス、日本語ガイド付きで安全、安心に旅することができる」
――ツーリズムEXPOジャパン2024に続いて、大阪・関西万博(エキスポ2025)にもご出展されますね。
「ツーリズムEXPOでは、ペルーの文化、自然、生物多様性、サステナビリティ、美食をPRした。日本ではマチュピチュやナスカの地上絵が有名だが、他にもカラル遺跡、チャンチャン遺跡、トゥクメのピラミッド、チャビンの考古遺跡など、5千年以上にわたる豊かな文化を証明する多くの遺跡がある。またペルーは、歴史や文化だけでなく、さまざまな先住民族が習慣や料理を通じて『生きる文化』を今も体現している。自然についてだが、ペルーにはさまざまな気候や標高の地域があり、唯一無二の景色を生み出している。海岸地域にはビーチ、砂漠、谷が、山岳地域には、山々、雪山、渓谷、湖が、熱帯雨林地域には、豊かな森林や川がある。中でも特に、世界で最も高い航行可能な湖であるチチカカ湖、世界最長かつ水量が最も多いアマゾン川は特に有名だ。これらの地域には、ペルーでしか見られない珍しい動植物も生息している。ツーリズムEXPOのブースでは、アルパカのテキスタイル製品の展示や、日本をはじめ世界中に輸出しているスペシャリティコーヒーの試飲も行った。これらの展示は、大阪・関西万博でも行う予定だ」
――アドベンチャーツーリズム(=AT 体験・アクティビティ・自然)、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)、エコツーリズム(自然環境に配慮)などのキーワードをツーリズムの世界で最近よく耳にします。
「ペルーではその全ての観光形態を外国人観光客に提供している。アドベンチャーツーリズムでは、ペルーの地理的な多様性のおかげで、北部のビーチでのサーフィンや、リマでのパラグライダー、インカトレイルでのトレッキング、ラフティング、マウンテンバイクなど、さまざまなアクティビティを楽しむことができる。またサステナブルツーリズムでは、マチュピチュがカーボンニュートラル認証を取得しているほか、アンデスの村々では、エコツーリズムを促進し、彼らの伝統や自然環境を保護する活動が行われている」
――お好きな日本の料理は何ですか。
「たくさんある。特に挙げるとすれば、すし、刺し身、焼き鳥、お好み焼きだ」
――日本人旅行者におすすめしたいペルー料理は何ですか。
「私のおすすめはペルーを代表する料理の一つ『セビーチェ』。一口大に切った新鮮な魚をライム、塩、唐辛子、赤玉ねぎのスライスとマリネし、ジャイアントコーンとサツマイモ(カモテ)」を添えて提供される。ぜひ現地を訪れて味わっていただきたい。ペルーの伝統料理と日本料理が融合した『ニッケイ料理』も試してみてほしい」
――日本の温泉、旅館に行かれたことはありますか。
「日光の温泉に行ったことがある。全裸で入浴するので、最初は少し恥ずかしかったが、何度か入るうちにすぐに慣れた。とてもリラックスできて、癒やされる体験だった。旅館での宿泊も日本を訪れたら絶対に外せない体験だと思う。ただ、西洋人は畳の上に直接寝るのには慣れていないので、低床ベッドなどがあると、より過ごしやすいのではないかと思う」
【聞き手・江口英一】
ペルー大使館 商務参事官 フェルナンド・アルバレダ氏