一般社団法人ツーリストシップ(京都市、田中千恵子代表)は6日、大阪市の市立港区民センターで「第3回ツーリストサミット~大阪・関西万博を契機とした持続可能な観光の在り方~」を開いた。自治体関係者ら約240人が参加。万博開催に向けた機運醸成や持続可能な観光について、「ツーリストシップ」をキーワードに取り組み状況の共有や、意見交換を行った。
第1部では、「2025大阪・関西万博に向けた機運醸成」をテーマに藤田浩良・大阪府・大阪市万博推進局機運醸成部長が、「錦市場における持続可能な観光」をテーマに清水彰・京都錦市場商店街振興組合理事長が基調講演。
第2部では関西学院千里国際高等部3年に原田桜子さんによる「オーバーツーリズムに対する観光客と住民のギャップ」をテーマにしたプレゼンテーションと、田中代表をモデレーターに「大阪・関西万博を契機とした持続可能な観光の在り方」をテーマとしたパネルディスカッションを行った。
パネルディスカッションには、パネリストとして、 津留崇明・国交省九州運輸局観光部観光地域振興課長、竹田博康・奈良県観光局長、西銘基恭・石垣市企画部観光文化課長、森山育子・墨田区観光協会理事長が登壇。各地域でのオーバーツーリズムの現状と対応策などを説明した後、「ツーリストシップ」という概念や持続可能な観光についての考えなどをそれぞれ披露した。
このうち持続可能な観光のために何が大切になってくるかについて森山氏は、「持続可能な観光地域づくりが重要。住民と同じ目線でまちを見てもらえるようなまちづくりが、持続可能な観光につながるのでは」と指摘。竹田氏は、奈良県南部では過疎化が進み、魅力の一つである日常の営み自体が失われていっているのが現状に触れ、観光の中でのまちづくりに取り組んでいることを紹介した。
このほか持続可能な観光のために何をすべきかについては、旅行者と地元住民の間でのコミュニケーションの重要性などを議論。いかにして「旅マエ」で観光客とコミュニケーションを取って啓発するかや、日本の生活文化や日本来訪時の心構えなどを国主導で発信していくことの重要性などについて意見が出された。 津留氏は「万博はサステナブルな地域であるのを発信する絶好の機会であるが、取り組みは一時で終わるものではない。万博を契機に持続可能な観光地づくりに継続的に取り組んでいくことが重要だ」と強調した。