和船で天竜川を下る長野県飯田市の「天竜舟下り」が運航を再開する。運営会社の事業撤退に伴い、新会社「南信州リゾート」(本社・飯田市)が事業を受け継ぎ、4月15日に本格オープンする。新会社は、下伊那エリアの自治体、企業、団体が出資している南信州観光公社の子会社。和船下りや、併せて提供するラフティングなどのリバー・アクティビティをSDGs(持続可能な開発目標)学習や環境学習につながる体験交流型のプログラムに磨き直し、教育旅行などに生かす。
天竜舟下りは、天竜川流域の水運、造船の文化を背景に和船観光事業として始まり、約100年の歴史がある。飯田市内のリバーポート弁天―リバーポート時又間の約6キロを約35分かけて運航する。県立公園鵞流峡の渓谷を船頭の鮮やかな艪(ろ)さばきで進む。船頭の案内や展示から、通船の歴史や造船技術、操船技術についても学んでいく。
天竜舟下り以外にも、多様なリバー・アクティビティを提供する。小学生から大人まで参加できるラフティング、インストラクターのガイドで初心者でも急流を乗り越えることができ、1人で持ち運びが可能なパックラフト(1人乗りゴムボート)などで天竜川の自然を体験してもらい、仲間との信頼関係、自己実現、達成感を実感する機会を提供する。
南信州リゾートでは、天竜舟下りやリバー・アクティビティはもとより、地域の関係者と連携することで、天竜川流域の自然、文化、産業などに触れる多様なコンテンツを提供する。SDGsなどの持続可能な新しい価値創造を考える教育プログラム、環境学習のためのプログラムとして活用してもらう。教育旅行だけでなく、CSR(企業の社会的な責任)などを踏まえ、社会人の学びの場としてもプログラムの活用を提案していく考えだ。
事業を本格化させる南信州リゾートは経営のビジョンとして、「リニア時代に向かって、南信州を世界のリゾートにする」「和船文化の伝承のために変わり続ける」などを掲げている。リニア中央新幹線の開業を見据えながら、和船下りを起点に多様な体験プログラムを展開し、周辺の宿泊・観光事業者などと連携したリバー・ツーリズムを活性化させ、国内外の旅行者の誘客を目指す。
天竜舟下り
天竜川でのラフティング